島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、沖縄県とともに琉球文化圏を構成し、九州以北や中国大陸、東南アジアの影響も色濃く残る奄美大島(あまみおおしま|鹿児島県)の、秋名アラセツ行事(平瀬マンカイ) を3回にわたりお届けします。
鹿児島・奄美大島 秋名アラセツ行事(平瀬マンカイ)1
鹿児島本土から南に約380km離れた奄美群島(あまみぐんとう|鹿児島)最大の島・奄美大島。
中国大陸や東南アジアの影響を受ける琉球文化が残りながら、平家の落人伝説も伝わる奄美大島は、本土と琉球の文化が混ざり合った、独特の文化を感じることができる。
そんな奄美大島北部の町・龍郷町(たつごうちょう)秋名(あきな)集落にて行われる、400年以上の伝統を誇るアラセツ(新節)行事のため、今年も大阪伊丹空港より、奄美空港へと飛んだ。
早朝に行われる「ショチョガマ」(百島百祭 #78・79 参照)を終えると、一度、秋名集落を離れ、名瀬(なぜ)へと戻った。そして風が少し涼しくなった夕刻、秋名アラセツ行事の「平瀬マンカイ」を撮影するために再び秋名集落へと戻ると、和やかに談笑する島人が神事の始まりを待っていた。
ショチョガマが山の神様(稲霊)へ五穀豊穣を祈願する行事である一方、夕方に行われる平瀬マンカイは、海のかなたの楽園・ネリヤカナヤから神様(稲霊)を招き、五穀豊穣を祈願する行事とのこと。山と海、それぞれに囲まれた秋名集落ならではの生業を感じる。
平瀬マンカイは、秋名湾の西岸にある「神平瀬(かみひらせ)」と「女童平瀬(めらべひらせ)」と呼ばれる岩礁を中心に行われる。
祭祀に先立って、しめ縄が巻かれた「神平瀬」に、何人かの島人たちが海の神様(稲霊)に捧げるカシキ(赤飯)を供えて、海に向かって感謝の拝礼を行う。その一帯に、厳かな空気が漂っていた。
鹿児島県奄美大島・秋名アラセツ行事(平瀬マンカイ)2へと続く
◆祭情報◆
日程 旧暦8月初丙の日(2018年は9月11日)
場所 奄美大島(鹿児島県龍郷町)