島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、古くより風待ち潮待ちの避難港として栄えてきた家島(いえしま|兵庫県姫路市)の海上安全と五穀豊穣を祈願して奉納される神事、天神祭(本宮)後編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。
家島・天神祭も佳境を迎え、家島神社の本殿では、獅子舞に合わせ、子どもたちのかわいい踊りも奉納される。親御さんたちが熱い視線を送るなか、見事な踊りを披露。たくさんの笑顔が溢れ、やさしい空気に包まれていた。
そして境内の大釜では熱湯が焚かれ、湯立神楽が行われた。熱湯が撒かれると、青年たちがふざけながら押し合い圧し合いし、その微笑ましい姿を見た人々の笑い声が聞こえてきた。
釜の湯気はかなりの熱湯のようだが、浴びると無病息災のご利益があるらしく、皆耐えながら浴びていた。私もカメラを守りながら、飛んできた熱湯を浴びたのだが、声が出そうになってしまうくらいのかなりの熱さだった。しかし、これで無病息災が約束されたわけだ。良しとしよう。
家島神社での神事を終え、皆再び檀尻船(だんじりせん)へと戻る。船の前には手作りのかわいらしい獅子頭を持った幼子がいて、先輩たちに憧れの視線を送っていた。
今、立派に舞っている舞手にも、こんな風に先輩の舞いに憧れていた、幼少期があったのだろう。そう思うと、今まさに、島の祭りが引き継がれているのだと感じ、そんな素敵な光景に出会えたことに胸が熱くなった。将来の舞手に見せるかのように、見事な獅子舞が船上で舞われていく。
その後、檀尻船が各集落に向け、家島神社を出立すると、皆が名残り惜しそうに見送った。笛や太鼓の音を響かせながら、檀尻船が瀬戸の海を勇壮に進み、家島は夏本番を迎える。
◆祭情報◆
日程 毎年7月24日(宵宮)・25日(本宮)
場所 家島(兵庫県姫路市)