つくろう、島の未来

2024年12月07日 土曜日

つくろう、島の未来

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

愛媛・伯方島の弓放し神事1

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瀬戸内海中央部に位置する芸予諸島・伯方島にある、島最古の神社と言われる喜多浦八幡大神神社では、毎年2月11日に「弓放し」が行われる。

 

社伝によると喜多浦八幡大神神社は、674年(白鳳2年)8月15日、九州・博多の筥崎宮(はこざきぐう)より分霊勧請し創建され、この島を伯方島と名付けたと伝えられる由緒ある神社だ。そんな島名の由来にもなったとされる、島人たちの大切な場所で古より行われる神事を撮影しに島へと入った。

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今回撮影した弓放し神事は「弓祈祷」とも呼ばれ、社伝には天明の大飢饉(1782~1788年)の後、五穀成就、無病息災などの願いを込めて始まったと記されており、それ以来210有余年にわたって続けられている伝統的な神事だ。元々は旧暦正月の初めに行われていたが、昭和30年半ば頃から、現在の2月11日に行われるようになったという。現在の射手は、中学生を中心とした子どもたちが白装束に烏帽子姿で務める。古式に則った独特の所作があり、一定期間の厳しい練習を重ね当日披露されるという。

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神社の境内では、午前中より準備が進められ、お昼には的場が完成していた。ちょうどその頃、社務所から白装束に烏帽子姿で正装した射手達が出発し、宮司さんを先頭に行列を組み、急な神社階段を登って社殿へと向かう。社殿にて弓矢に神霊を込める神事が、厳かに執り行われ、いよいよ射手達が的場へと進み出る。


(愛媛・伯方島の弓放し神事2へとつづく)

 

◆祭情報◆

日程 2月11日

場所 伯方島(愛媛県今治市)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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