島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、人口に対して牛の数が10倍以上という、のどかな牧場風景が広がる放牧の島、黒島(沖縄県竹富町)の旧正月前編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。
沖縄・黒島の旧正月1
旧正月を祝う風習が残る沖縄の島々。毎年、旧正月に合わせて訪れるのが恒例となってきているが、2015年は八重山諸島の黒島へと向かった。石垣島の南南西17kmに位置する黒島は、ハートの形をした低平な島で、畜産の島、牛の島として有名な島だ。そんな黒島の旧正月を見ようと、石垣島の離島桟橋から高速艇で島へ渡った。
島に入るとまず、港近くでレンタルサイクルを借り、旧正月の行事が行われる東筋集落へと向かった。途中の家々の軒先には、しめ縄が飾られ、正月の雰囲気が島内に漂っている。そんな正月気分いっぱいの島内を自転車で走り、東筋集落へと到着すると、黒島伝統芸能館前には、正月ユンタの歌詞が大きく貼り出されていた。漢字にはふりがなを振ってあるが、少し独特な読み方をしているものもあり、沖縄の島々に息づく独自の文化を感じた。
その横で、化粧を施したり台座を用意したりと、ゆったりとした時間の中、準備が進められている。まだ行事のスタートまで時間があったので、こちらもゆっくり集落内を散策した。どこを歩いても、この日の天候のように、陽気な空気に包まれるようで心地よく、島の人々の気性がそうさせるのだろうと感じた。
14時過ぎになると、地域住民に旧正月行事の開催を告げる銅鑼の音が、支会役員の手によって鳴り響く。法被姿の島の住民たちによる、正月ユンタの曲に合わせた南北の掛け合いが始まると、いよいよ黒島の旧正月行事のスタートだ。
「沖縄・黒島の旧正月2」へと続く
◆祭情報◆
日程 旧暦1/1(※2016年は、2/8)
場所 黒島(沖縄県竹富町)