つくろう、島の未来

2024年12月11日 水曜日

つくろう、島の未来

島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は三重県鳥羽市沖、伊勢湾口に位置する東西に長い島・菅島に伝わる盆送りの行事「じんかん舟」をご紹介します。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

三重・菅島のじんかん舟 1

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三重県鳥羽市沖、伊勢湾口に位置する東西に長い島・菅島。鳥羽湾に浮かぶ菅島で、盆送りの行事として、8月31日に「じんかん舟」が行われると聞いて、佐田浜桟橋から菅島へと渡った。

 

「じんかん舟」とは、木と竹と藁で作った舟を海に流し、先祖の霊を送るとともに、悪霊も沖へ退散させようというもの。「じんじん舟」・「おんやれ舟」とも呼ばれ、安永9年(1780年)、悪疫の流行を防ぐために始まったと言われている。同じような行事は、伊勢志摩地方の数ヶ所の漁村に残されており、鳥羽市の神島ではヤリマショ舟、安楽島ではオンヤレ舟、答志島の桃取地区ではオイヤレ船など呼び方は違うが、伊勢志摩の伝統行事として息衝いている。

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島へ入ると、冷泉寺に島の長老たちが集まっていた。本堂には長さ2mほどの「じんかん舟」が置かれており、舟内には12体の武者人形(閏年は13体)と小豆、もち米が乗せられている。この武者人形の表情がかわいくて、1体1体の表情も微妙に異なり、それぞれの人形の性格が想像できて、とても和む。愛らしい表情も好ましい。そんな武者人形に心奪われていると、本堂内には島人達が集まってきて、大きな数珠をまわして悪霊を追い払う神事を行い始めた。

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冷泉寺の本堂内で悪霊払いが行われた後、「じんかん舟」は境内へと移され、島内を巡っていく。

 

 

(「三重・菅島のじんかん舟(おんやれ舟)2」へと続く)

 

 

◆祭情報◆

日程 毎年8月31日

場所 菅島(三重県鳥羽市)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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