つくろう、島の未来

2024年03月29日 金曜日

つくろう、島の未来

島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、2014年に海の彼方の異界【ニライカナイ】につながる聖地・久高島の旧正月・酌とり(シャクトゥイ)後編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

沖縄・久高島の旧正月・酌とり(シャクトゥイ)3

 

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カチャーシーが進むに連れ、飛び入り参加で踊る人々も出てきて、さながら宴会のような華やかさだ。子どもから大人まで老若男女が踊る様子は、島の繋がりの強さを感じられる。小さな子どもも宙を舞い楽しそうだ。

 

酌とり(シャクトゥイ)の順番を待つ間、島人たちは、殿の前のテントで酒を酌み交わし親交を深める。久しぶりの旧友との再会もあって、酒が進むのだろう、あっという間に酒瓶が空いていく。酒豪揃いの宴は壮観だ。

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そんな酒を酌み交わす大人たちの間を、中学生の少女が酒やおつまみを配って歩く様子は、祭りの日の微笑ましい光景だ。大きなボウルにつくられた祭り飯の味も、おばぁたちの手によって、次の世代、そして少女の世代へと受け継がれていく。それが伝統なのだと思う。

 

島に「おめでとう」の声が溢れていた「神の島」・久高島の旧正月。
手を握り、新年を迎えられたことを喜び、そして呑んで踊る。脈々と受け継がれてきた、地域で喜びを分かち合うという一体感。独特の文化が色濃く残るこの島の祭事は、現代社会が忘れている大切なモノを教えてくれた。

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今回は、酌とり(シャクトゥイ)を撮影し島を離れたが、旧正月の宴は、皆が島中の家々を巡る「屋巡り(ヤーメグリ)」へ続き、夜更けまで続くそうだ。次は「屋巡り(ヤーメグリ)」も見てみたいと思った久高島の旧正月だった。

 

 

◆祭情報◆
日程 旧暦1/1(2015年は、2/19)
場所 久高島(沖縄県南城市)

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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