島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、長崎市の離島・伊王島(いおうじま|長崎県長崎市)の船漕ぎ競争「ペーロン大会」の模様をお届けします。
長崎市の南西海上10kmにある伊王島。神功皇后が新羅征伐(しらぎせいばつ)の折、この島の美しい風光を称して祝詞を賜ったという故事にちなんで「祝島」(いはふじま)と呼ばれるようになったというのが島名の由来となったという。
伊王島は真隣にある沖之島と3本の橋で架橋されるため、さながら一つの島の様だ。また2011年には伊王島大橋が架橋し、本土とも陸続きとなった。かつては炭坑の島として栄えた伊王島で、ペーロン大会が行われるということで、伊王島大橋を渡り島に入った。
ペーロンとは、長崎地方の各地で6月初旬から8月中旬頃までに開催される舟漕ぎ競漕のこと。中国から伝えられた白龍(パイロン)から語源といわれ、300年以上の歴史がある。
見事な夏晴れの中、橋を渡って島に入ると沖之島天主堂が現れる。ペーロン大会が行われる伊王島港は、もう少し先にある。
かつて炭坑の島として栄えた伊王島は、炭鉱の閉山によって人口減少の一途を辿り、ペーロン大会も昭和59年を最後に途絶えていたのだが、平成7年に島人達の要望により復活している。これまで多くの島祭りを訪れているが、一度途切れた祭りを復活させている地域は珍しい。そんな島人たちの想いが詰まったペーロン大会が行われる港に10時過ぎに到着した。
会場では、日の丸旗が振り下ろされたのをスタートの合図に、勢いよくペーロンが漕ぎ出され、夏の暑さに負けない熱い戦いが繰り広げられていく。
父親がレースに出ているのか、一生懸命声援を送る家族もいて、微笑ましい光景が溢れていた。途中、定期船が港に入ってくると、皆礼儀正しく定期船を優先的に通していく様子も島の祭りらしく、こちらも和んでしまう。
伊王島・ペーロン大会2へと続く
◆祭情報◆
日程 毎年8月第一日曜日
場所 伊王島(長崎県長崎市)