島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、長崎市の離島・伊王島(いおうじま|長崎県長崎市)の船漕ぎ競争「ペーロン大会」の模様をお届けします。
伊王島ペーロン大会は、伊王島と沖之島内にある、船津・大明寺・塩町・馬込という4つの地区に分かれて争われる。
どのチームも、地区の誇りをかけて、これまで練習してきた成果を出すために、皆で力を合わせて真剣に櫂を漕いでいく。レースが終わった後の全身びしょ濡れの勇姿が、負けてなるものかという心意気を物語っていた。
レースは片道450メートル、往復900メートルのコースで行われ、1レース終えるごとに腕はパンパンに疲れるだろうが、皆そんなことは感じさせない気勢を上げている。元気あふれる子どもたちから、熟練の中高年まで、幅広い年代の人達が参加するのも伊王島ペーロン大会の特徴。皆が全力でペーロンを進めることで、熱い想いが受け継がれていくのだろうと感じ、胸が熱くなった。
レースが終了すると、1位から3位までの順位を記した旗をつけた竹を、着順に合わせて受け取る。1位の旗がつけられた竹を受け取る漕ぎ手は、とても誇らしそうだった。
夏の晴れ渡った空の下、竹につけられた旗が、漕ぎ手達のがんばりを讃えるように、やさしく風に舞っていた。途中、観光客も含めた一般の人もペーロンに乗れる「体験ペーロン」も開催され、笑顔と笑い声が溢れていた。
激しいレースを繰り広げた漕ぎ手達も、陸に上がれば共に全力を出し合った仲間として、お互いの健闘を讃え合い、和やかな雰囲気の中で、大会は幕を閉じる。
突堤に立て掛けられていたさまざまな長さの櫂が、年齢も性別もバラバラの同士が力を合わせた姿を、そのまま写し出しているように感じられた。
◆祭情報◆
日程 毎年8月第一日曜日
場所 伊王島(長崎県長崎市)