つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。今回は白石踊(国指定重要無形文化財)で有名な岡山県の笠岡諸島の白石島(しらいしじま)で行われる、盆送り行事「灯篭流し」をご紹介します。

岡山・白石島の灯篭流し

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笠岡港から南に約12キロメートルにあり、島全体が国の名勝に指定されている白石島。白石島のお盆行事と言えば、源平合戦の戦死者を弔うために始まったと伝えられる白石踊(国指定重要無形文化財)が有名だ。そんな白石島で、夏の夜を幽玄に彩る灯篭流しが行われると聞いて、笠岡港から島へと渡った。

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陽が瀬戸内海に傾き始める時刻、白石島・西ノ浦にある白石島海水浴場には、島人達により多くの灯篭が持ち込まれ、浜辺に並べられていた。夕焼けに染まる瀬戸内を借景にした灯篭は、とてもフォトジェニックで絵になる。海に流されるのを待つ灯篭の姿は、まるで天国へ帰るのを名残惜しんでいる先祖達が、島からの美しい景色を目に焼き付けているように見えた。その後、灯篭は漁船へと積み込まれ、沖合へと向かった。

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浜辺には、弘法大師由来の開龍寺の住職と婦人方が集まり、海に向かって祭壇が組まれていた。日が沈む頃、灯篭が流され、住職の読経と婦人方の唱える御詠歌(ごえいか)にのせ、瀬戸の海を漂っていく。穏やかな瀬戸内海の波に揺られながら、先祖の魂を乗せた灯篭がゆっくり進んでいく光景は、とても神秘的で優しかった。

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日本各地で行われる夏の夜の風物詩「灯篭流し」だが、島々の連なりが美しい瀬戸内海の「灯篭流し」は情緒がより一層感じられた。日本古来の伝統行事の美しさを感じる白石島の盆送り行事だった。

◆祭情報◆

日程 毎年8月16日

場所 白石島(岡山県笠岡市)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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