つくろう、島の未来

2024年10月10日 木曜日

つくろう、島の未来

島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は瀬戸内海家島諸島の中央に位置する家島の真浦地区の秋祭り 後編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

兵庫・家島 真浦地区の秋祭り 2

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本殿での神事が終わると境内には、煮えたぎった熱湯が入った釜が運ばれる。笹の葉でその熱湯をすくい上げ、島人たちにかけていくと、ワーワーキャーキャーと悲鳴に似た歓声が上がる。島の悪ガキたちによる悪ふざけもあって、見ていて面白いが、うっかり近づきすぎるとカメラが悲しいことになるので注意が必要だ。島人によると、真浦神社は「かまど神」である奥津彦神(おきつひこのかみ)・奥津姫神(おきつひめのかみ)を祀っているので、それに由来する湯立ての行事とのこと。

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熱湯をすくい上げる時に使われた笹の葉は、無病息災の御利益があり、祭りの無事を願って、屋台の担ぎ手たちが次々と身に着けていった。法被の帯に差し込む人や、中には帽子の隙間に通す人もいて、それぞれの個性が感じられる。

 

そして担ぎ手たちに担がれた屋台は、神社前で練り回しを行った後、集落巡行へと向かった。造船所が立ち並ぶ海岸沿いの道を屋台が進み、少し休憩をした後、再び真浦神社への宮入となる。神社前には、島人たちが集まり屋台の到着を今か今かと待ち構えていた。満を持して二基の屋台が現れ、練り回しを行う。担ぎ手たちが「ヨーイヤ・セー」の掛け声とともに何度も屋台を高く掲げる姿に、観衆からは大きな拍手と歓声が送られていた。

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絶好の祭り日和だった家島の秋祭り。勇壮な屋台の練り回しや屋台の装飾は一見の価値ありだ。見事な秋晴れに恵まれた天候のもと、播州人の粋を垣間見れる見事な祭りだった。

 

◆祭情報◆
日程 毎年11月2、3日
場所 家島(兵庫県姫路市)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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