つくろう、島の未来

2024年12月03日 火曜日

つくろう、島の未来

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

和歌山・紀伊大島の水門祭2(本祭)

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水門祭・本祭の一日の始まりは早い。

 

まだ夜も明けきらない5時前、祭の開催を告げる振れ太鼓が地区内に響き渡り、その後水門神社では、古式にのっとった様々な神事が行われる。

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御神酒や料理が振る舞われる「大座の儀」の余興として、舞い踊る獅子神楽に、祭気分も盛り上がってきた正午頃、潮打ち(道中の清め役)の先導のもと、神官や氏子とともに、三対の御神体が納められた唐櫃(からひつ)が、獅子屋台の笛や太鼓にのって賑やかに宮を下り、当船の待つ港へと向かう。その頃には、一般氏子や私も御神酒の飲み過ぎで、若干足取りも怪しくなってくるが、そこはご愛嬌。

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港へと着いた一行は、御神体を納めた唐櫃を当船に乗せて、「千秋万歳」という島人達の歓呼に見送られ、櫂伝馬(かいでんま)に大島港の出入り口まで護衛されながら、神事が行われる苗我島へと船出していく。当船を見送った後、櫂伝馬からは、25歳の厄払いや還暦祝いの祝い餅が投げられるのだが、速度も速いので、撮影するのは中々大変だった。事実この時、餅によりレンズ一本が破損してしまい、祭を撮影する上では、色々気を付けないといけないなぁと再確認することとなった。

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そんな餅撒きも終わり、いよいよ櫂伝馬競争が行われる。「隼」・「鳳」の二艘の櫂伝馬に島の若者20人ずつに分かれて乗り込み、寒空の中、パンツ一丁で大島~串本間の往復を争う様はとても勇壮だ。島人達の応援にも熱が入り、水門祭一番の盛り上げを見せる。今回、串本に置いてある旗を持って、大島港に先に姿を見せたのは「隼」だった。

 

(紀伊大島の水門祭 3へとつづく)

 

◆祭情報◆

日程 2月11日(櫂伝馬競争など)

場所 紀伊大島(和歌山県串本町)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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