つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

兵庫・沼島の沼島八幡神社 春祭り3(本宮)

005-609x456-2

多くの人が沼島へと渡ってくる本宮の朝、島中が活気で満ち溢れる。午前10時ごろ、各地区より「だんじり」が曳き出され、沼島八幡神社へ宮入りを行う。気合に満ち溢れた曳手と豪華絢爛な「だんじり」の集合は、とても迫力があり、祭への期待感も高まってくる。島人達の表情も引き締まり、こちらまで緊張感が伝わってくる。

その頃、沼島八幡神社では、神事が執り行われ、御神輿が沼島八幡神社から地元では弁天さんと呼び親しまれている弁財天神社(厳島神社)へと御旅(おたび)行事を行う。沼島八幡神社の急な階段を御神輿が下る様は、華やかでとても絵になる。

特に、鳥居下を潜る時の神輿担ぎ手の呼吸の合わせ方は、一糸乱れぬ、まさに「阿吽の呼吸」で、強い絆で結ばれた島人達だからこそ生み出せる、その様は見事なものだ。階段下では、神輿練りも行われ、「だんじり」の曳き手からも、あたたかい声援が飛ぶ。そして、御神輿は島人に見守られながら、無事に弁財天神社へと到着した。

  • 006-291x218
  • 007-291x218

御神輿の到着後、弁財天神社では御旅所祭が催行される。白い小袖と緋袴に身を包んだ巫女による奉納舞は、瀬戸内海の青や新緑の緑と重なって、とても美しい。沼島水軍を彷彿させる勇壮な祭のイメージが強かった沼島八幡神社・春祭りだが、古の時代より続く桟敷上の巫女舞を見て、動と静の美しさに心奪われた。

(「百島百祭 #17 兵庫・沼島の沼島八幡神社・春祭り4(本宮)」へ続く)

◆祭情報◆

日程 毎年5月3日(宵宮)・5月4日(本宮)

場所 沼島(兵庫県南あわじ市)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

----------

関連する記事

ritokei特集