つくろう、島の未来

2024年12月03日 火曜日

つくろう、島の未来

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

愛媛・伯方島の弓放し神事2

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緊張の面持ちで的場へと現れた射手達は、古式に則った所作を行った後、順番に8間(15m)先にある「鬼」と書かれた的に向かい矢を放つ。見事命中する射手もいれば、残念外れる射手もいる。それでも、弓放し神事を見ようと集まった、近くの島人達からは、温かい声援が送られ、和やかな雰囲気で弓放しは進んでいく。この島特有の温かさがとても好きだ。カメラマンとしても、本殿をバックに白装束・烏帽子姿の射手達の姿は、とてもフォトジェニックで絵になる。

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次に、祝儀袋が張り付けられた「魔」と書かれ逆さに吊るした的を、同じような所作で射る。命中すれば、拍手や歓声が上がり、盛り上がりも最高潮に達する。射手全員の弓射りが終わり、五穀成就・無病息災・悪魔退散を祈願する喜多浦八幡神社の弓放し神事は無事に終了となった。射手達もリラックスした表情で、的場を後にする。その後、還暦や厄年の島人による弓射りや、無病息災の御利益のある矢の取り合い等が行われ、人々は家路に着いた。

 

天候にも恵まれ、撮影日和となった伯方島・喜多浦神社の弓放し神事だが、古からの伝統が息づきながらも、島特有の温かさに包まれた神事だった。子どもの減少で、射手の確保も大変だと聞くが、これからも大切に継承されていってほしいと思う。

 

◆祭情報◆

日程 2月11日

場所 伯方島(愛媛県今治市)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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