つくろう、島の未来

2024年10月13日 日曜日

つくろう、島の未来

島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、瀬戸内海に浮かぶ直島・本村地区で行われる八幡神社秋祭りの後編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

香川・直島 本村地区 八幡神社秋季大祭(本祭)2

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御神輿と太鼓が揃うと、追いかけっこのような形で練り合いが行われる。カラッとした秋晴れの空の下、何度も何度も走る御神輿・太鼓の担ぎ手たちの疲労はもちろん、太鼓を叩く少年たちもかなりしんどいに違いないのだが、太鼓の音は乱れないのが凄い。五色の帯を締め、魔除けの化粧を施した少年たちの晴れ姿に、島の人が喝采を送る。少年たちの親御さんも誇らしそうだ。

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しばらくの間、御神輿と太鼓による練り合いが行われるのだが、御神輿を練ると「チャリンチャリン」と音がして、島の子どもたちが群がっていく。そして腰につけた籠の中へと大切そうに何かを入れていた。近づいて見ていると、どうやら御神輿にお金(小銭)が乗せられており、練られた時に散らばる仕組みのようだ。

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それを目当てに子どもたちが集まっていたのだが、子どもたちからすれば、いいお小遣い稼ぎになるし、大人からすれば、島の伝統を受け継いでくれる次の世代に祭りを見せることができ、一石二鳥のいい風習だ。

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秋祭りもいよいよ終盤に差し掛かり、8人で太鼓を担ぐ大技の見せ場だ。4人の少年が乗った太鼓はかなりの重さになるのだが、その状態でゆっくりと回転する姿はかなり迫力がある。観客からの歓声を受けながら、見事な披露だった。その後、御神輿が長い階段を上り、八幡神社へと宮入をして、本村地区八幡神社の秋祭りは終わった。

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近年、芸術の島として脚光を浴びる直島だが、脈々と受け継がれてきた祭りは、今も確かに息衝いており、観光で訪れる人にもぜひ見てほしいと思える祭りだった。

◆祭情報◆

日程 毎年10月第3土・日曜日(2015年は10月17・18日)

場所 直島(香川県直島町)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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