島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、鹿児島の離島・奄美大島(あまみおおしま)の油井集落・豊年踊りの模様をお届けします。
(油井の豊年踊り1はこちらから)
最後に切られた綱は結ばず、「シシ」を先頭に集落の方々が歌う「ホコラシャ節」と共に土俵に運ばれ、土俵上の小俵として埋められる。
その後、ホラ貝の音高らかに力士たちの「ヨイヤ、ヨイヤ」の掛け声が響き渡る「振り出し」が始まった。ふんどし姿の力士たちが土俵入りする姿は勇壮で、男たちの息の合った所作が青空の下とても映えて、撮影しているこちらの身も引き締まる。
そして微笑みをたたえた表情の紙面を付け、鎌を持った者が三味線の軽快なリズムに合わせ土俵に上がり、鎌を振り踊りながら土俵上の厄を払っていく。
その動きはどこかコミカルで、見ていて和やかな気持ちになる。「土俵祓い」が終わった後は子どもたちによる「前相撲」が行われる。
小さな力士たちの必死の取り組みに歓声や拍手が飛び交い、会場は南国特有の気候と同じような温かい空気に包まれた。笑顔があふれる祭りは、やはり素敵だなぁとこちらの顔もほころんでしまう。
子どもたちによる「前相撲」の後は、野良着にクバ傘を被った男が、鎌と「オーコウ」と呼ばれる天秤棒を持って登場し、「稲刈り」が行われる。
この演目は、農民が豊作の田んぼから稲を刈り取り、天秤棒で担いで帰るという、稲刈りの一連の所作と収穫の喜びを表現したもので、まさに豊年踊りの演目に相応しく、豊作の喜びをユーモラスに踊っていく様は見事だった。
鹿児島県奄美大島・油井の豊年踊り3へと続く
◆祭情報◆
日程 毎年旧暦8月15日
場所 奄美大島(鹿児島県瀬戸内町)