つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

兵庫・沼島の沼島八幡神社 春祭り(宵宮)1

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淡路島の南4.6kmの紀伊水道北西部に浮かぶ兵庫県最南端の離島、沼島。国生み伝説の「おのころ島」の候補地の一つとして名高い島だが、京都在住の身としては、「沼島の鱧」で馴染み深い。その沼島が一年で最も賑わう2日間、それが毎年5月3日・4日に行われる沼島八幡神社・春祭りの日だ。沼島水軍を彷彿させる勇壮な祭を見るべく、宵宮の行われる5月3日に沼島へと向かった。

この沼島、島からしか行けない離島なので、まず明石海峡大橋を渡り、淡路島へと入った。その後、淡路島・土生港(はぶこう)から沼島へと渡った。わずか10分のショートトリップだったが、島影が大きくなってくると祭への期待が高まってくる。沼島に着くと、島内は祭の日独特の空気感が溢れ、午前11時ごろから各地区の「だんじり」が練り始め、満潮に近づく午後2時ごろから海へと滑り込む「曳きだんじり」が始まった。今日は宵宮なので、軽い練習程度かなぁと思っていたが、皆、本宮さながらに海へと突っ込んでいく。こっちの地区が見事な滑り込みを見せると、負けじと違う地区が飛沫を上げて突っ込む。

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翌日は多くの観光客が訪れるであろう祭だが、宵宮の今日はあまりいないので、海への滑り込みをゆっくりと堪能できた。地区と地区の意地のぶつかり合いに心奪われていると、「だんじり」は各地区順番に宮入りを行い、沼島八幡神社の鳥居前に集合した。

(「沼島の沼島八幡神社・春祭り2(宵宮)」へ続く)

◆祭情報◆

日程 毎年5月3日(宵宮)・5月4日(本宮)

場所 沼島(兵庫県南あわじ市)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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