つくろう、島の未来

2024年12月18日 水曜日

つくろう、島の未来

島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は芸予諸島に浮かぶ大崎上島(おおさきかみじま|広島県)・明石地区の「御串山八幡神社秋祭り」の後編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

広島・大崎上島の御串山八幡神社秋祭り 2

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海岸沿いの道を御神輿が行く様子は、島の祭らしい光景で、シャッターを押す指にも力が入る。島の細い路地を御神輿は進み、御串山麓の鳥居前へとやってきた。鳥居前で、練り回しが行われた後、この後に控える長く急な参道を登っての宮入れのため、しばらくの休息となった。

 

しばらくの間、体を休めた後、男衆に担がれた御神輿が、威勢の良い掛け声と共に御串山の頂に祀られる御串山八幡神社へと進んでいく。途中、石段が途切れ、舗装されていない野道となるも、男衆達は足元に注意を払いながらも一歩一歩踏み出す。いろいろな祭を撮影してきているが、野道を御神輿が駆け上がる祭は珍しく、とても絵になる光景だ。古の祭もこのような光景だったのだろうと思いをはせ、思わず撮影枚数も増えてしまった。

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長い参道を登りきり、境内へと御神輿が入ると、再び練り回しが行われる。とてもしんどいはずなのに、男衆達は疲れも見せず、そのまま本殿へと練り込んでいく。たくましい島の男衆によって御神輿は無事に本殿へと入り、宮入れは終わった。

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島の男衆の力強さを感じる神輿巡行や、優雅な巫女舞・獅子舞の奉納など、五穀豊穣を祈願する様々な祭事が行われる御串山八幡神社秋季大祭は、島人達の感謝の想いが詰まった秋祭りだった。御神輿が野道を駆け上がる宮入れは、男衆の意気込みが感じられ見応え十分だった。

◆祭情報◆

日程 毎年9月第3土曜日(2014年は9月20日)

場所 大崎上島(広島県豊田郡大崎上島町)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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