島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、本土から沖合2kmに位置し、島全体が、国の特別史跡・特別名勝に指定されている宮島(厳島)の管絃祭 前編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。
広島・宮島(厳島)の管絃祭 1
本土から沖合2kmに位置し、島全体が、国の特別史跡・特別名勝に指定されている宮島。そんな宮島(厳島)にある、厳島神社で旧暦6月17日に瀬戸内海を代表する海の祭り「管絃祭」が行われると聞いて、2014年7月13日 島へと渡った。この管絃祭は、京都とも縁があるらしく、京都在住の身としては、興味津々での宮島入りとなった。
古より都では、公家たちが池や河川に船を浮かべる優雅な「管弦(絃)の遊び」が行われていた。厳島神社を造営した平清盛は、この風習を厳島神社に移し、遊びではなく神様を御慰めする神事として執り行うようになったのが、宮島の管絃祭だ。大阪市北区で行われる大阪天満宮の天神祭、島根県松江市で行われる城山稲荷神社のホーランエンヤとともに、日本三大船神事のひとつとされている。
そんな祭事に期待しながら、島に入ると、管絃船を曳航する江波の漕伝馬船(こぎでんません)が木遣歌(きやりうた)を唄いながら、揃いの半纏(はっぴ)、編み笠で、大鳥居をくぐり、社殿の枡形(ますがた)に入ってきた。回廊に囲まれた枡形で、船を左に三回廻す様は、圧巻。漕伝馬船で唄う木遣歌と采(さい)振りの素晴らしさは目を見張るものだった。
その後、社殿にて発輦祭(はつれんさい)が執り行われ、雅楽を奉納し祝詞奏上した後、御祭神を御鳳輦(ごほうれん)へと遷す。潮が引いた浜辺を漕伝馬船の一つ、阿賀町の水主(漕ぎ手)に担がれた4人の采振りを先頭に御鳳輦が続く。肩車された幼い采振りの微笑ましい姿に温かい気持ちになる。男衆に担がれた御鳳輦が御座船へと向かう様子は、穏やかな瀬戸内の風景と重なってとても美しかった。
「広島・宮島(厳島)の管絃祭 2」へと続く
◆祭情報◆
日程 毎年旧暦の6/17(※2015年は8/1)
場所 厳島(広島県廿日市市)