つくろう、島の未来

2024年11月24日 日曜日

つくろう、島の未来

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。今回は大崎上島「ひがしの住吉祭」後編。櫂伝馬競漕を競う男たちの一糸乱れぬ櫂さばきは見る者を魅了します。

広島・大崎上島のひがしの住吉祭 2

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櫂伝馬競漕の合間に、将来の漕ぎ手である小学生による競漕が行われる。将来、彼らが水夫として一糸乱れぬ櫂さばきを見せる姿が目に浮かぶ。脈々と受け継がれる伝統はこういう形で繋がっていくのだろう。またOB達による競漕も行われるのだが、さすがベテランという熱い戦いで、見物人達を魅了する。

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日も傾いてきた時刻、最後のレースが行われ、優勝地区が発表される。2013年は盛谷地区の優勝だった。肩を抱き合って喜ぶ水夫達を見ていると、水軍時代の男衆の姿が想像される。古の時代、情報伝達が戦いを左右する中、命令を伝える櫂伝馬のスピードが非常に重要だったであろう。海の早馬として、櫂伝馬を早く扱える水夫達はとても重宝されたに違いない。そんな時代に想いを馳せながら、熱く喜ぶ男達を見ていた。

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瀬戸内に夕刻が迫る頃、御祭神を乗せた御本船が櫂伝馬を従えて、厳島神社に運ばれ祭典が行われ、御神輿の練り合いが行われる。櫂伝馬競漕を終え、祭典も終えた後、夕暮れの瀬戸内海を御本船や櫂伝馬ゆっくりと進み、ひがしの住吉祭はフィナーレの花火大会へと進み、熱くて長い島の一日が終わる。

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海に生きる男達の心意気感じる櫂伝馬競漕や、笹の枝にくくられたご祝儀を手にした見物人の島人達、夜の花火大会など見どころの多い大崎上島の「ひがしの住吉祭」は、島の夏を彩る水軍浪漫感じる祭だった。

◆祭情報◆

日程 毎年8月13日

場所 大崎上島(広島県大崎上島町)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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