島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、伝統芸能や農業から生まれた民間信仰、独特の風習などが数多く残る淡路島 福良の大綱曳 前編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。
兵庫・淡路島 福良の大綱曳 1
瀬戸内海最大の島である淡路島。記紀(※)の国産み神話では、最初に創造された島とされ、古代から平安時代まで御食国(みつけくに)として、皇室や朝廷に海水産物を中心とした御食料を贄(にえ)として献上してきた。そんな歴史ある淡路島には、伝統芸能や農業から生まれた民間信仰、独特の風習などが数多く残っている。
※記紀……『古事記』と『日本書紀』の総称
そんな淡路島に、2014年お盆の島巡りに旅立つ道中、立ち寄った。
ここ淡路島・福良では、毎年8/14に「大綱曳」という行事が行われるらしい。福良商店街には大漁旗がなびき、巨大な大綱が祭りの始まりを待っていた。この大綱曳は、数百年の歴史を持ち、東西に分かれて争われる。
西が勝つと「豊漁」、東が勝つと「豊作」と言われており、どちらが勝っても縁起が良いのだが、はたして今年はどちらが勝つか見ものだ。そんなことを思いながら、福良の町並みを撮影していると、ねじり鉢巻きにふんどし姿の若者が現れ、一気に祭りの雰囲気が高まった。
若者が勢ぞろいすると、大綱の前で神事が行われる。その後、獅子舞の奉納があり、島の子どもたちは、獅子舞に慄きながらも興味津々だ。幼子が獅子に噛まれて泣く姿も見られ、どこか懐かしい気分にさせてくれる。
獅子舞が終わると、いよいよ大綱曳となるのだが、ふんどし姿の若者たちが曳く前に、島の人や帰省客による曳が行われる。幼子から老人まで綱を曳くのだが、力強い握りが真剣さを物語っている。祭りへの想いが表れているのだろう。
「兵庫・淡路島 福良の大綱曳 2」へと続く
◆祭情報◆
日程 毎年8月14日
場所 淡路島(兵庫県南あわじ市)