つくろう、島の未来

2024年11月27日 水曜日

つくろう、島の未来

島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、古い漁村の面影を残した家並みがあり、香川県の県庁所在地高松市の約20km北東沖に位置する小豆島(しょうどしま)の虫送り(肥土山)前編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

香川・小豆島の虫送り(肥土山)1

 

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香川県の県庁所在地高松市の約20km北東沖に位置する小豆島。非架橋の島としては、瀬戸内海で一番大きなこの小豆島に残る、稲虫退治の伝統行事「虫送り」を見るため、2014年神戸港から坂手港へと渡った。2012年には、映画の影響で復活した中山地区の虫送りを撮影したのだが、今回は肥土山(ひとやま)地区で行われる虫送りの日程に合わせての訪島となった。

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もともと日本各地で行われていた虫送りは、農作物の害虫を駆除し、その年の豊作を祈願する伝統行事だが、農薬の普及や人手不足により、行われる地域も少なくなってきた。そんな中、小豆島では約300年前から代々受け継がれた伝統行事が、今なお行われている。

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夏至から数えて11日目となる半夏生の日(毎年7月2日周辺)に、肥土山地区を訪れると、青々とした見事な田園風景が広がっていた。18時頃より小豆島霊場第46番札所多聞寺(たもんじ)にて、虫除け・五穀豊穣を祈願した後、虫塚にて稲虫の供養を行う。虫塚の供え物をみていると、駆除される稲虫に対する島人たちの律儀な想いも伝わってくる。

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19時前になると虫送りの出発地点となる肥土山離宮八幡神社に、地域の人々が手づくりの火手(ほて)を持参して集まり、虫送りの始まりを今か今かと待っていた。19時過ぎに多聞寺の住職さんの読経が行われ、多聞寺から虫塚を経て、大切に運ばれてきた手燭(てしょく)から松明に火がつけられ、青々とした風景の中で赤く燃え上がった。

 

「香川・小豆島の虫送り(肥土山)2」へと続く

 

 

◆祭情報◆
日程 毎年半夏生の日(※2015年は7月2日)
場所 小豆島(香川県小豆島町)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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