島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、鹿児島の離島・奄美大島(あまみおおしま)の油井集落・豊年踊りの模様をお届けします。
(油井の豊年踊り3はこちらから)
「油井の豊年踊り」もいよいよ佳境を迎え、「玉露カナ(シシ)」の演目が始まった。女性と長鎌持ちが、はやし唄の調子に合わせて踊っていると、突然シシが登場。女性に襲い掛かろうと様子を伺っている様は非常に緊張感があり、見ているこちらもドキドキする。
近くで見ていた子どもたちも泣き出したり、逃げ出したりしていたので、かなり怖かったのだろう。それ程の迫力を醸し出していたシシも、女性に襲い掛かろうとした瞬間、長鎌持ちの長鎌によって見事に仕留められた。
そして座頭が川を渡る様子をユーモアたっぷりに演じる「ガットドン」の演目が行われる。杖で川の深さを測ったり、三味線を演奏したり、休憩と称して途中お酒を呑んだりと中々自由奔放な座頭だなぁと撮影しながら感じた。
すると事もあろうに敬老席へと向かった座頭は、見事な粗相をしでかし、会場は今日一番の笑い声に包まれ、みんなが満面の笑みを浮かべたまま、豊年を神に感謝する「油井の豊年踊り」の演目は終了し、「結相撲」が執り行われた。
ススキの葉を一束挿した焼酎瓶を担いた力士たちが現れると、最後の「八月踊り」へ。今年の豊年を感謝し、来年の豊年を祈願する古式豊かな「油井の豊年踊り」はフィナーレを迎えた。奄美の小さな集落に伝わる、多彩かつユーモラスな豊年踊りに、地域に生きる人々の伝統と誇りを感じる祭り撮影となった。
◆祭情報◆
日程 毎年旧暦8月15日
場所 奄美大島(鹿児島県瀬戸内町)