つくろう、島の未来

2024年03月19日 火曜日

つくろう、島の未来

島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、瀬戸内海に浮かぶ直島・本村地区で行われる八幡神社秋祭りの前編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

香川・直島 本村地区 八幡神社秋季大祭(本祭)1

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高松市の北方約13km、岡山県玉野市の南約2kmの海上にある、自然と産業と文化が調和した島・直島。その名の由来は、保元の乱に敗れ、讃岐配流の途中に立ち寄った崇徳上皇が住民の素朴さを賞し、命名されたと伝えられている。近年は芸術の島としても有名で多くの観光客が訪れるが、そんな直島の本村地区・八幡神社で、秋祭りが行われると聞いて、岡山県・宇野港より本祭の行われる日曜日に島へと渡った。

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直島では10月になると地区ごとにある神社を祭って毎週末秋祭りが行われる。第1土・日曜日は積浦(つむうら)地区の崇徳天皇神社、第2土・日曜日は宮ノ浦(みやのうら)地区の住吉神社。今回私が訪ねた本村(ほんむら)地区の八幡神社は直島町全体の氏神様とされ、直島の人々にとってはとても大切な神社の一つとなっている。

第3土・日曜日に行われる八幡神社の秋祭りは「大祭り」と称され、崇徳天皇神社、住吉神社と順番に行ってきた秋祭りのクライマックスを飾る豪快な祭りだ。澄み渡る秋晴れの中、お昼過ぎに島に入ると、八幡神社参道下には祭壇が設けられ、見事な鯛が供えられていた。いかにも島らしいお供え物だ。

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しばらく本村集落をブラブラと散歩していると、「ドン・ドン」という太鼓の音が聞こえてきた。どうやら太鼓が出発したようだ。担ぎ手たちが練り歩く上で、少年たちは太鼓を叩き続ける。担ぎ手も太鼓を叩く少年も、一朝一夕の練習では決して真似できない、受け継がれてきた高い技術を感じた。ちょうどその頃、祭壇では神事が行われた後、28人の神社氏子に担がれて神輿が出発した。迎える太鼓の方も差し上げを行う。

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真っ青な秋晴れの大空に向かって天高く差し上げる姿は、とても勇ましく見えた。前日の宵宮、本祭の午前中を経て、いよいよ秋祭りは佳境を迎える。

「香川・直島 本村地区 八幡神社秋季大祭(本祭)2」へと続く

◆祭情報◆
日程 毎年10月第3土・日曜日(2015年は10月17・18日)
場所 直島(香川県直島町)

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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