島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、国内近海捕鯨の3大基地と並び称された捕鯨の島・小川島(おがわしま|佐賀県唐津市)の祇園祭 前編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。
佐賀・小川島の祇園祭1
呼子港から6.5kmの玄界灘に浮かぶ漁業の島・小川島。古くから朝鮮半島との交通の要所として知られたこの島は、島の北側の壱岐水道が鯨の通り道であることから、平戸諸島の生月島(いきつきじま|長崎県平戸市)、五島列島の中通島(なかどおりじま|長崎県新上五島町)とともに、国内近海捕鯨の3大基地と並び称された捕鯨の島だ。そんな小川島で、100年以上続く祇園祭が行われるとのことで、呼子港から島へと渡った。
絶好の島祭り日和の青空の中、無事に小川島に到着。祇園祭と言えば、京都に住んでいる者としては、京都・八坂神社の優雅な祇園祭を思い浮かべるが、今回、小川島で行われる祇園祭は、博多祇園山笠(やまかさ)の流れを組む祭らしい。
どんな祭なのだろうと、期待に胸を膨らませ、島内を歩くと、田島神社前の広場に大きな山笠が、どーんと鎮座していた。鮮やかな装飾が施された山笠だが、島の方に話を聞くと、「渡辺 綱、茨木童子を討つ」という話を題材にしているという。九州・松浦党の祖、渡辺 綱と茨木童子が戦う京都・大江山の逸話なので、京都在住の身としては、不思議な縁を感じる。そんな鮮やかな山笠が、夏晴れの空模様によく映え、見応えのある光景を創り出していた。
そんな中、山笠の曳き手たちが集まる当屋(とうや)へと向かっていると、食欲をそそるいい香りが漂ってきた。見ると曳き手たちに振る舞うイカの姿焼きが焼かれている。流石、イカの名産地・呼子の島だ。ご相伴に預かったのだが、弾力と旨味が桁違いの絶品だった。お陰で、お腹も心も満たされ、祭りテンションもどんどんと上がってきた。
佐賀・小川島の祇園祭2へとつづく
◆祭情報◆
日程 2016年7月16日・17日
場所 小川島(佐賀県唐津市)