つくろう、島の未来

2024年11月24日 日曜日

つくろう、島の未来

島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、古い漁村の面影を残した家並みがあり、穏やかな瀬戸内の風景を堪能できる長閑な島 真鍋島の走り神輿(お帰り) 後編。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

岡山・真鍋島の走り神輿(お帰り)2

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2日間に渡って島内を駆け回った「走り神輿」も、いよいよお帰りのクライマックスとなる八幡神社への走り込みが行われる。体力の限界も近づいているであろう輿守達が、気力を振り絞って最後の走りを見せる姿は、同じ男として憧れる。そんな男達の勇姿に、見物人達も惜しみない拍手と声援を送り、無事に3体の神輿が八幡神社へと帰った。

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八幡神社へと帰った神輿は、輿守達によって練り上げが行われ、300年以上続く天下の奇祭「走り神輿」が終わった。祭りが終わった境内では、警護方として祭りを支えた男達の握手が行われており、激しい祭りが怪我なく無事に終わったことの安堵感が、その表情に溢れていた。満面の笑顔で握手を交わす姿を見ていると、こういう光景を見たいがために島の祭りを撮影しているのだろうと思わしてくれる。その後、八幡神社から警護方や輿守達が各々家路につく。帰り道、見事なガッツポーズをしながら帰る警護方が、今年の走り神輿の成功と充実感を表しているようだった。祭りの終わりに出会えた素晴らしい光景は、島人達の温かい心を感じさせてくれた。

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本祭り・お帰りと2日間に渡って撮影した真鍋島の走り神輿。輿守達の迫力と300年以上に渡る伝統を感じる祭りだった。本祭り・お帰りともに見どころがあるので、2日間に渡って訪れるのがオススメだ。

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◆祭情報◆
日程 毎年5月3~5日(お帰りは、5月5日)
場所 真鍋島(岡山県笠岡市)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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