野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。
三重・菅島のしろんご祭1
三重県鳥羽市沖、伊勢湾口に位置する東西に長い島・菅島。海女の多い島として知られるこの島には、【しろんご祭】という祭がある。「しろんご」とは、島の守護神である白髭大明神(しらひげだいみょうじん)の白髭が訛ったもので、数百年の昔から大漁と海上安全を祈願するために、菅島の人々によって受け継がれてきた海女の祭だ。その【しろんご祭】を撮影するために、鳥羽・佐田浜桟橋から菅島へと渡った。
古くから「しろんごさん」と地元で呼ばれ、親しまれてきた【しろんご祭】は、白髭神社から参道の長い階段を下りた先にある浜・白浜(しろんご浜)で行われる。この白浜は一年を通じて禁漁区となっているのだが、この日だけは漁が許さる。沖合では大漁旗を掲げた船団がパレードしたり、浜では太鼓や浜踊りが行われ、祭気分を盛り上げていた。
そんな中、ホラ貝の合図で白い磯着を纏った島中の海女が、いっせいに雌雄一対の鮑「まねき鮑」を獲るために競い合う。ベテランから若手まで、皆必死に「まねき鮑」を狙うが、なかなか簡単には見つからない。流れが激しく体力が奪われていく中、何度も海に潜る島の海女さん達の体力はすごい!
海女さんの白い磯着と磯桶が沖合に浮かぶ様はとても絵になる。事実、多くのカメラマンが撮影に来ていた。古くから続いている祭だが、イベントとしても定着してきているのだろう……。その時、沖合から雌雄一対の鮑「まねき鮑」が獲れたとの情報が入り、浜の動きが活発になった。
(「三重・菅島のしろんご祭2」へと続く)
◆祭情報◆
日程 毎年7月11日だったが、近年は7月11日に近い土曜日(2014年は7月12日)
場所 菅島(三重県鳥羽市)