つくろう、島の未来

2024年11月22日 金曜日

つくろう、島の未来

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

兵庫・沼島の沼島八幡神社 春祭り 2(宵宮)

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瀬戸内海に太陽が沈み始める午後6時ごろ「だんじり」や「布団だんじり」が集まった沼島八幡神社の鳥居前で、島の小学生による沼島水軍太鼓が奉納される。島内に響き渡る勇ましい水軍太鼓の躍動感が、瀬戸の落日と重なって宵宮の空気感を盛り上げる。島の大人たちも子どもたちの水軍太鼓を温かく見守りっており、この大人たちが子どもの頃には、その親世代が優しく見守っていたのだろうと、島の文化継承を肌で感じた瞬間だった。

島の小学生による沼島水軍太鼓が終わると「だんじり」や「布団だんじり」の提灯に灯がともり、宵宮はクライマックスを迎える。薄暮の中、浮かび上がる提灯の灯はとても温かく、明日の本宮への期待感を高揚させてくれる。祭を撮影していると、時々感じるこのワクワク感が堪らない。

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その後、各地区に伝わる「だんじり唄」を歌いながら、順番に「だんじり」を曳き取っていく。地区ごとに「だんじり唄」があるのも非常に興味深く、団結力を強め、明日の本宮での曳き回しの競争心を煽っているのだろう。夜の帳が下りた島に響く「だんじり唄」が鳴りやむ頃、沼島八幡神社・春祭りの宵宮が終わり、明日の本宮への期待感を胸に島内が眠りについた。

(「沼島の沼島八幡神社・春祭り 3(本宮)」へ続く)

◆祭情報◆

日程 毎年5月3日(宵宮)・5月4日(本宮)

場所 沼島(兵庫県南あわじ市)

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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