野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。
兵庫・沼島の沼島八幡神社 春祭り 2(宵宮)
瀬戸内海に太陽が沈み始める午後6時ごろ「だんじり」や「布団だんじり」が集まった沼島八幡神社の鳥居前で、島の小学生による沼島水軍太鼓が奉納される。島内に響き渡る勇ましい水軍太鼓の躍動感が、瀬戸の落日と重なって宵宮の空気感を盛り上げる。島の大人たちも子どもたちの水軍太鼓を温かく見守りっており、この大人たちが子どもの頃には、その親世代が優しく見守っていたのだろうと、島の文化継承を肌で感じた瞬間だった。
島の小学生による沼島水軍太鼓が終わると「だんじり」や「布団だんじり」の提灯に灯がともり、宵宮はクライマックスを迎える。薄暮の中、浮かび上がる提灯の灯はとても温かく、明日の本宮への期待感を高揚させてくれる。祭を撮影していると、時々感じるこのワクワク感が堪らない。
その後、各地区に伝わる「だんじり唄」を歌いながら、順番に「だんじり」を曳き取っていく。地区ごとに「だんじり唄」があるのも非常に興味深く、団結力を強め、明日の本宮での曳き回しの競争心を煽っているのだろう。夜の帳が下りた島に響く「だんじり唄」が鳴りやむ頃、沼島八幡神社・春祭りの宵宮が終わり、明日の本宮への期待感を胸に島内が眠りについた。
(「沼島の沼島八幡神社・春祭り 3(本宮)」へ続く)
◆祭情報◆
日程 毎年5月3日(宵宮)・5月4日(本宮)
場所 沼島(兵庫県南あわじ市)