つくろう、島の未来

2024年11月24日 日曜日

つくろう、島の未来

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

岡山・北木島の流し雛 1

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笠岡港から約26kmの笠岡諸島の中央に位置する、諸島の中で最も大きな島・北木島。古くから「北木みかげ石」で知られる、石の島として有名なこの島で、旧暦3月3日(現在は旧暦3月3日直前の日曜日)に行われるのが「北木島の流し雛」だ。

 

「北木島の流し雛」は、和歌山県加太の浦の淡島明神信仰(※)にまつわる行事ということで、和歌山出身者としては、妙な親近感を抱きつつ笠岡港より北木島へ向かう船へと乗り込んだ。

 

流し雛は、麦藁で作った「空船(うつろぶね)」に、桃の花や菱餅とともに、紙で作った雛を乗せ海へ流すと、その年は無病息災でいられると言われる女性の厄除け行事である。現在では観光行事化し、流し雛体験ツアーなどで参加する女性も多く、かなりの盛況ぶりだ。

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島へ入ると港近くの公民館で、うつろぶね作りの体験教室が開かれており、雛を流す満潮の時刻に間に合うよう、皆さん一生懸命制作に勤しんでいた。

 

(「北木島の流し雛 2」へ続く)

 

◆祭情報◆

日程 旧暦3月3日直前の日曜日(2014年は3月30日)

場所 北木島(岡山県笠岡市)

 


 

淡島明神信仰

天照大神(あまてらすおおみかみ)の第6女が住吉神に嫁いだものの、婦人病にかかり12の神宝とともに「空船」に乗せられ堺から流されてしまう。その後、流された船は3月3日に紀州の加太にたどり着き、この場所に淡島神社が建てられたと伝えられている。婦人病に御利益があるとされ、無病息災を祈願して雛を流すとやがて淡島神社へ辿り着いて願いが叶えられると信じられている。
【参考文献:1986年 臨川書店発行『神道大辞典(縮刷復刻版)』】

     

離島経済新聞 目次

【連載】百島百祭

野宿で日本各地の島を旅していた10年前、偶然出会った島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム。島々に息衝く、祭の魅力をお届けします。

黒岩正和(くろいわ・まさかず)
写真家。21歳より、日本の島の風俗・祭事を撮影(2013年現在300島以上を撮影)。主な撮影テーマは、日本の島・山岳少数民族の風俗・メコン河流域の風俗・ 棚田などの稲作文化・戦国史跡など。
http://kuroiwamasakazu.com/

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