島の祭に魅せられたカメラマンの島祭コラム「百島百祭」。今回は、愛知県は知多半島の離島・篠島(しのじま|南知多町)の正月祭礼「大名行列」をお届けします。
(大名行列2はこちらから)
しばらくすると、オジンジキサマを運ぶ神職の方・「庁屋の人」が前浜(ないば)にやってきた。「庁屋の人」は、オジンジキサマを目にし、直接ご神体に触れるという重要な役目を担うため、寒中の海へと入り、身を清めていた。
かなり寒いであろう正月の海水につかり、自分の役職の重さを感じているのだろう。いにしえより続いている島の信仰心に、こちらも身が引き締まる。
袴姿の男たちが前浜(ないば)に姿を現し、いよいよ祭り気分も高まってくる。様々な扮装をした男たちが大名行列を形作り、オジンジキサマを迎える準備をする。
行列の先頭に並ぶ厄年の男たちを中心に、舞を舞い、声を上げ、酒を酌み交わし、そして砂を掛け合う。
篠島では、高校生になると、この祭りのために舞を習うことが決められている。新たに島の舞手となった高校生はどこか誇らしげだ。
前夜の島中の電気が消える静けさと打って変わって、晴れやかに舞う高校生たちの鈴の音がシャンシャンと浜に響く、にぎやかな島の光景。海からの冷たい風が吹く冬の前浜で、皆が子どもに戻ったような笑顔で空まで届くように砂を掛け合い、士気を高め、オジンジキサマの到着を今か今かと待ちわびていた。
オジンジキサマが一晩過ごされた神明社を出立すると、篠島・大名行列はいよいよ佳境を迎える。
●愛知県篠島・大名行列4へと続く
◆祭情報◆
日程 毎年1月3日・4日
場所 篠島(愛知県南知多町)