つくろう、島の未来

2022年12月02日 金曜日

つくろう、島の未来

20代の頃に屋久島(やくしま|鹿児島県)を訪れて以来、島旅にはまり、気づけば色んな離島をひとりで旅するようになった。訪れた島は40弱。そんな私は今、下関市にある小さな離島・蓋井島(ふたおいじま|山口県)で民宿を営んでいる。

島旅好きだった私はいろんな宿にとまり、いつか宿業をしてみたいと漠然と想い続けていた。ある時期、伊良部島(いらぶじま|沖縄県)のゲストハウスでヘルパーとして3週間過ごした。宿には色々な人がさまざまな気持ちを抱えてやってくるが、帰る頃には皆が笑顔で「また来ます!」と言って帰っていく。ああ、こんな空間づくりをしたい!と、私の想いが目標に変わった。

そして縁があり、蓋井島に住む漁師と結婚した。夫の実家は義祖母が民宿を営んでいた。病床に伏す義祖母にも背中を押してもらい、この春から民宿を継ぐことにした。

蓋井島は人口約90人。若い人が多く活気がある。捕れたての魚介類がたくさん食べられる。島の人は温かく新参者の私にも皆が声をかけてくれる。捕れた魚をご近所さんにあげたら野菜やビールになって返ってくる。隣の家のおばあちゃんのいも天はとにかくおいしい。

民宿に来る人は「また来ます!」と笑顔で船に乗って帰っていく。私の目標はこの島で確実に叶っていると感じた。次の目標は島をもっと色んな人に知ってもらうこと。民宿をきっかけに島を訪れる人が増えるよう新米女将は頑張るのみである。(2022年8月発行『季刊ritokei』39号掲載)


周防千明(すおう・ちあき)
長野生まれ福岡育ち。大学卒業後転勤族で8県まわったのち下関にたどり着き、結婚を機に下関市の蓋井島に移住。現在は島内にある民宿周防を営んでいる。蓋井島までは本土側の吉見港から定期船で約40分。アワビやサザエなどの新鮮な海産物や人々の温かさが自慢

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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