つくろう、島の未来

2021年09月19日 日曜日

つくろう、島の未来

カタクチイワシ漁が盛んな「いりこの島」と呼ばれる浮島(うかしま|山口県)で、5軒ある網元のうちのひとつが私の実家です。

島のいりこ漁には昔からの取り決めがあり、漁をするのは午前10時まで。漁場に1〜5番まで番号をふり、クジで決めた順番で漁に出て、日替わりで漁場を変えることで、値崩れや捕り過ぎを防ぐ持続可能な漁を続けてきました。島の先人たちが編み出した知恵には感心します。

一方で、両親の会話から、消費者のライフスタイルの変化で煮干しの需要が減ってきたり、環境の悪化に左右されて魚が捕れなくなるなど、島の漁の課題も肌で感じながら育ちました。

暮らしが変わったなら、現代の暮らしに合う新しい加工品をつくればいいと考えた私は、いりこのパッケージを若者が手に取りたくなるようなデザインに変えたり、サイズが大きくいりこにできなかった未利用魚を加工し「オイルサーディン」を商品化しました。親を含め島の漁師たちの反応は、はじめ「そんなものつくって売れるのかねえ」と懐疑的でした。

しかしその後、自社で立ち上げたECサイトや、周防大島本島の道の駅、百貨店のカタログギフトなど、素材の旨味を活かした無添加の「オイルサーディン」は少しずつ販路を伸ばし、それを見て周囲も新商品のアイデアをくれるなど、応援してくれるようになりました。

今は女性や高齢者の生業づくりにもなり得る天然の海藻類にも着目し、商品化を進めています。島の先人たちにならい、知恵を絞る日々です。(2021年5月発行『季刊ritokei』35号掲載)


新村一成(しんむら・かずなり)
浮島出身、47歳。結婚を機に周防大島(すおうおおしま|山口県)で暮らし、2011年オイシーフーズを起業。いりこに向かないカタクチイワシの未利用魚や島の周辺で採れる海藻など、伝統的な水産物を現代に合った商品に加工、販売する。

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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