つくろう、島の未来

2024年03月29日 金曜日

つくろう、島の未来

私たちの住む種子島(たねがしま|鹿児島県)は幼い頃から転校生が多い島です。親の仕事(ロケット関係、公務員など)や、Iターン、短期留学制度などでやってくる色々な子と仲良くなっては、港での見送りを繰り返してきました。

島ならではの環境の中で、高校生になったある日、「総合的な探究」という授業でSDGsについて学びました。持続可能な開発目標に取り組む事の大切さを知り、友人と2人で自分たちにもできる持続可能な取り組みがないか考えた結果、もっと簡単に「おさがり」できるシステムを思いつきました。

種子島は地域の人同士の繋がりが強く、私もよく近所のお姉さんや先輩からおさがりをもらっていました。そうした島の慣習が、本来捨てられるはずの制服を再利用できる仕組みだと気づきました。

しかし、転校してきてすぐの子たちは、しばらく制服を用意することが難しいのです。そこで、地域の人との繋がりのない転勤族や移住者の方でも素早く簡単に制服を入手できる手段があったらいいなと考え、「osagari」という制服譲渡アプリを友人と先生、地域づくり団体の方の協力のもと、制作しました。

アプリが完成した現在は2人とも大学に進学し、鹿児島本土、福岡と離れてはいますが、種子島在住の湯目由華さんのご協力のもと、osagari事務局として、アプリの普及を目標に活動を続けています。昔からのおさがり文化と、種子島ならではの環境で生まれた発想をアプリとして形に残し、全国に広げていきたいです。(2023年2月発行『季刊ritokei』41号掲載)


廣濱葵(ひろはま・あおい)
osagari事務局共同代表。種子島中央高校出身。現在共に代表を務めている友人・日高千尋と高校の「総合的な探究」での活動で、アプリ制作を決意。現在は教員になるため、教育学を学びながら、普及活動を続けている。

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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