つくろう、島の未来

2022年05月22日 日曜日

つくろう、島の未来

海も山もあり、自然の中で生活できる湯島(ゆしま|熊本県)には、おいしい魚や農家の人がつくる無農薬の野菜があります(お肉は買わないといけませんが)。

島の人はみんな顔見知りで知らない人はいません。悪いことをしたらみんなが注意してくれ、良いことをしたらみんながほめてくれる。昔も今も、人情味だけは変わりません。島の人はみんなが優しく、温かいのです。この島で生まれ育ち本当に良かったと思います。

私は湯島で漁師をしています。子どもの頃から、親や祖父の手伝いで魚を捕ったり、潜ってウニやサザエ等を捕ったりして遊んでいました。いつしかそれが仕事となり、今では親父や息子と3世代で漁業を営み、仕事ができる幸せを感じながら毎日頑張っています。

子どもの頃は空き家などほとんどなかったと記憶しています。しかし、今は島のあちらこちらに空き家が増えています。

歳をとり、島を出て行くお年寄りの方々の寂しそうな姿を何度も見てきました。みんなが涙を流し、寂しい思いをしていても、島に老人ホームはありません。仕方ないのかなーと、胸があつくなることがたくさんありました。

今と昔では、やっぱり人口が一番違っています。けれど、やっぱり好きな島で育った人は、最後まで島に住みたいんじゃないか。私自身も、10年後も、20年後も、この湯島で楽しく過ごしていけたらいいなと思っています。(2022年2月発行『季刊ritokei』37号掲載)


松尾秀和(まつお・ひでかず)
天草上島と島原半島のほぼ真ん中に浮かぶ周囲4キロメートルほど小さな島・湯島で親子三代、代々受け継がれる伝統漁法で漁師を営む。湯島は人口約300人のうち8割ほどが高齢者。近年は「猫の島」の愛称でも知られる。

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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