つくろう、島の未来

2024年10月06日 日曜日

つくろう、島の未来

佐渡島(さどがしま|新潟県)との縁は一切なかった。旅行や研修などで渡島したことはあったが、大して佐渡島のことは知らなかった。

新潟市にUターンをした私は、「自分が生まれ育った地域の魅力は一体何なのか?」と考えるようになった。行き着いた答えは「佐渡島」であった。

全国どの地域でも「地域おこし」は行われているが、他とは違う発信ができないか模索し、佐渡島ミーティングを開催すると同じ思いに賛同する参加者が徐々に集まった。

その後、佐渡出身者を含めた佐渡ファンのためのコミュニティ「佐渡ファンクラブ」をつくり、新潟市でトークイベントを開催すると、さらに手応えを感じた。

行政区や海を超えて佐渡島を何らかの形で応援し、交流を通じて関係人口を増やすため、自分にしかできない活動に注力した。40年の人生で3度しか渡島しなかった私がいつの間にか佐渡島に魅了され、1年で20回渡島するようになっていた。

活動の中、多くの新潟市民は首都圏情報に注目しがちで、佐渡島に目を向けていないと感じることが多々あった。

そこで島の価値に光があたり、人々に目を向けてもらえるよう『佐渡島でしたいこと103』という本の企画出版を思い立ち事を進めると、佐渡島なくして新潟、いや、日本や世界の歴史を語れないと確信した。

世界遺産登録を目指し、年間移住者が500人にのぼる流れもある。人々の心に「島でしたいこと」が閃きますように。(2023年2月発行『季刊ritokei』41号掲載)


渋谷研一(しぶや・けんいち)
1971年新潟市生まれ。上京後30歳で新潟市にUターン。激動の30代を生きながら誇れる何かを探して佐渡島に出会う。2015年にコミュニティを立ち上げ、佐渡ファンクラブ、佐渡関係案内所を設立。2021年『佐渡島でしたいこと103』発行

     

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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