つくろう、島の未来

2022年12月06日 火曜日

つくろう、島の未来

浜が汚いとウミガメがかわいそう、そう言って子どもたち自らその小さな手で海岸のゴミを拾い始め、45Lのゴミ袋があっという間にいっぱいになった。その子たちが立ち上げた篠島ウミガメ隊の活動はもう10周年になる。

私の住む篠島(しのじま|愛知県)は自然豊かな島で、伊勢神宮との深い歴史がある。漁業が盛んで、しらす漁では水揚げが漁港単位で日本一にもなる島だ。ウミガメが産卵にきたのは2011年6月のこと。

産卵を見守った第一発見者の少女は南知多ビーチランドでウミガメについて学び、友人と海岸清掃を始めた。その夜のことは今でも鮮明に覚えている。あっという間にいっぱいになったゴミ袋を見て、こんなにも海岸が汚れていたんだと知った。何よりも彼女らの行動に心打たれた私は、それからサポートを続けている。

島の子はとても人懐っこく素直で優しい。私たち大人には見えない島の良さが見えているように思う。ウミガメのためにと始めた活動だが、この10年間でウミガメが産卵にきたのは2014年のみ。

だが、子どもたちが続けてきた清掃活動がメディアで紹介され、篠島の海岸は綺麗だと広まった。そう、例えウミガメが来なくても、この活動は無駄ではない。子どもたちにはウミガメを通じて生き物のこと、環境のこと、篠島のことをたくさん感じとってほしい。

そしていつか、あの時海に帰っていったウミガメが産卵に戻ってきたら、安心して産卵するんだろうな、この綺麗な海岸で。(2022年8月発行『季刊ritokei』39号掲載)


辻 満剛(つじ・みちたか)
愛知県の篠島で島内に展示されていた「松島の夕日」の写真に衝撃を受け、翌日から夕日の写真を撮り始める。2010年、篠島を写真で紹介する「島写」というブログを立ち上げる。島写の撮影でウミガメの産卵動画を撮影した際に第一発見者の少女と出会う

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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