2018年、32歳のときに国家公務員を辞め、家族で東京から小豆島に移住することを決めました。島で就いた仕事は、地域おこし協力隊「国際交流支援員」。英国などでの海外経験を活かし、ゼロから島の国際化を進めることになりました。
協力隊任期中は、文化庁のプログラムを活用し、香川県内外の大学や企業の協力も得ながら、外国人向けの日本語教育や国際交流イベントの開催を続けてきました。
3年間の任期を終え、 2024年2月、仲間たちとともに一般社団法人LINGO(リンゴ)を設立しました。LINGOはラテン語で「ことば」を意味します。 「ことばの壁」に阻まれて困っている人たちの助けとなり、共生を進めたいという理念を込めています。
小豆島に住む外国人は、現時点でおよそ340人。その数は今後も増え続けると予想されています。多くはベトナムやインドネシアから来た技能実習生で、オリーブ、醤油、佃煮、石材などといった地場産業を支えています。
人口減少や担い手不足がさらに深刻化すると見込まれる中で、外国人なしでは島の産業や地域が成り立たなくなるのではないかという危機感があります。外国人は単なる労働力ではなく、島で共に生きるパートナーです。
彼らにとっても住みやすい環境をつくるためには、地域の中で拠り所となるコミュニティ(シマ)が必要。LINGO は、日本語教育やイベント、雇用促進などの事業を通じて共生のためのコミュニティづくりを進めています。
喰代伸之(ほおじろ・のぶゆき)
一般社団法人LINGO 代表理事。 英国の大学院に留学後、 参議院事務局で国際会議などの業務に従事するが、次第に東京の暮らしに限界を感じる。子どもが生まれたことを機に小豆島に移住。1985年、東京生まれ。島暮らし6年目
東京在住、2014年より『ritokei』編集・記事執筆。離島の酒とおいしいもの巡りがライフワーク。鹿児島県酒造組合 奄美支部が認定する「奄美黒糖焼酎語り部」第7号。著書に奄美群島の黒糖焼酎の本『あまみの甘み 奄美の香り』(共著・鯨本あつこ、西日本出版社)。ここ数年、徳之島で出会った巨石の線刻画と沖縄・奄美にかつてあった刺青「ハジチ」の文化が気になっている。