つくろう、島の未来

2021年12月01日 水曜日

つくろう、島の未来

1901年からカツオの一本釣りが120年続く地元・大熊集落で、我が家は曽祖父の代から漁業に携わってきました。Uターンして集落の水産事業に就いたのは12年前。悩んだ末の40歳での転職、そして故郷での島暮らし。あっという間に月日は流れましたが、お陰様で多くのことに着手することができました。

新船、浮桟橋、食堂、観光用の生簀、製氷施設などのハード整備。忙しさでどこかおざなりになっていた小学生を対象にした漁業見学や中高生の職場体験は、スタッフを1人増やしてしっかり時間をかけ、受入数も増やしました。

他にも観光メニューづくりと修学旅行生の受入、衛生管理の改善、肥料づくりと販売など。ただ新しい事業を始めるには反発がつきもので、乗り越えるための配慮、そして必要な時間は今も続いています。

私は学生時代に林学科で学び「法正林(ほうせいりん)」という言葉に心を奪われました。森林を適切に管理し、樹木の生長分だけを材として利用する循環型の森林経営で、持続可能な森林のことを言います。実際には長い年月の間に台風や斜面災害、物価の変動等があり、実現し難い理想の森林像です。

私は今、漁村と離島の1つの理想として、次の世紀へつなげる持続可能なカツオ漁を思い描いています。もちろん1人ではできません。さまざまな意見と向き合い、どんな形になるのか、予測不能なことも楽しみながら……。(2021年5月発行『季刊ritokei』35号掲載)


徳田謙治(とくだ・けんじ)
奄美大島名瀬生まれ、52歳。鹿児島大学農学部林学科卒業後、建設コンサルタント会社で15年。他府県の山間部で仕事をするうち、奄美でやってみたくなりUターン。食堂経営やブルーツーリズム受入など奮闘中。

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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