つくろう、島の未来

2024年04月27日 土曜日

つくろう、島の未来

五島列島(ごとうれっとう|長崎県)の小値賀本島から船で7分。ここは、人口が約20人の小さな島。スーパーも自動販売機もありません。かつては学校もあり、子どももたくさんいて、行事ごとも多くにぎやかだったそうです。

特産物である落花生は、本土でも「幻のピーナッツ」と呼ばれるほど高い知名度を誇るものですが、人口減少と共に衰退し、今にも途絶えようとしています。

そんな危機的状況にある納島(のうしま|長崎県)は、深く素晴らしい歴史が息づき、美しく広がる自然の中で、心身から癒される、島そのものが価値といえる場所です。

納島に住んで約2年が経ちました。島で過ごす時間の経過と共に、どんどん愛着が増しています。特に、不便さの中で工夫されてきた昔ながらの知恵、丁寧な手仕事、あたたかな助け合いの精神は、納島の大きな魅力です。

島の自然や、人々が大切に育ててきた食材から感じる感動はもちろんのこと、実際に訪れた人だけがわかる「心の豊かさ」を得られるシーンが納島にはあふれています。そんな納島のことを私たちは自信を持って「第二の故郷」だといえます。

二次離島(※)で暮らす大変さ、楽しさ、滞在することで見える納島の魅力を、たくさんの人にも感じていただけるよう、2022年の夏から「NOUSHIMA HOUSE」という宿を始めました。この宿が、島民と島外の人を繋ぐ拠点となるように、日々活動していきたいと思います。(2023年5月発行『季刊ritokei』42号掲載)

※本土から直接つながる航路がない島


橋本尚子(はしもと・しょうこ)/岡田ゆかり(おかだ・ゆかり)
株式会社百代所属。滋賀県(橋本)と長崎県(岡田)出身。2020年に協力隊として移住。古民家を改修した「NOUSHIMA HOUSE」を運営しながら、まちづくりを柱とした総合プロデュース事業に携わる。

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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