つくろう、島の未来

2022年11月29日 火曜日

つくろう、島の未来

2021年4月、福岡県から宮崎県の離島「島野浦島」へ移住した私は、この島の自然の美しさ、人の温かさなど、多くの人に知られていないポテンシャルの高さを感じた。

本土側の港から片道10分で行けるこの島には自分にとって「非日常の世界」ともいえる世界が広がっていた。魚の水揚げを知らせる島内放送で目覚める朝、路地裏で井戸端会議をするおばあちゃん、魚をくわえた野良猫、それまで都会で過ごしてきた私から見るとどれも新鮮でワクワクする風景だ。

過去人口が3,000人以上いた頃は、飲食店が多く存在し、島は大変な賑わいを見せていたという。しかし現在は人口減少に伴い飲食店はゼロ。観光客が立ち寄る場所も島民が集うスペースもない。

島の漁法の一つに「まき網漁業」というものがある。集魚灯というライトを使用し魚を誘き寄せる漁法だが、満月の週はライトの効力が薄れる。そのため、船の修理をしたり、疲れた体を休める週にしている。そんな満月の週は島にあった飲食店で仲間と酒を飲み交わし、島全体が賑わっていたそうだ。けれど、いつしかそんな【いつもの日常】を見ることができる場所も人口減少とともになくなってしまったのだ。

2022年3月にオープンした「満月食堂」は、かつて存在した【いつもの日常】を取り戻したいという想いでつくられた。宮崎県唯一の有人離島にあるたった一つの食堂。これからも誰かの日常に寄り添い続ける場所でありたい。(2022年5月発行『季刊ritokei』38号掲載)


岩田大志(いわた・たいし)
1992年、福岡県飯塚市生まれ。2021年4月に地域おこし協力隊として宮崎県の離島「島野浦島」に移住。同時に2022年12月から「日々とデザイン株式会社」の取締役として、満月食堂の運営・地域特産品の開発販売を行う。

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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