つくろう、島の未来

2024年12月03日 火曜日

つくろう、島の未来

八丈島(はちじょうじま|東京都)で多花園を切り盛りする母と、神主の父の元で5人兄弟の三女として生まれ、現在まで何不自由なく暮らしてきました。20歳となり、両親と島へ感謝と恩返しの気持ちが芽生え、自分の未来と共に島の未来を考え始めました。

2009年、ユネスコが世界消滅危機言語に八丈語を登録しましたが、14年経った現在、父が話す八丈語以外では島言葉が生活の中で聞こえなくなりました。気づいた時に私は上京しており、強い焦りと無性の悲しみに襲われました。「自分に何ができるのか」「なぜ悲しくなるのか」と思考する日々が始まりました。

そんな中、ある人に自分の想いを共有する時間をいただき、「文化が失われていく中でそれを見過ごすのは悲しい」という気持ちを伝えました。私はこの気持ちを受け止め、共感してくれる強力な味方と出会いました。

そして彼女と共に思考を深め、ある目標にたどり着くことができました。その目標とは、「八丈島で島言葉の展示会を行う」こと。写真と映像を通じ芸術的なアプローチで想いを伝えたいと考えています。今年3月に島内で初の展示を行う予定で、日々奮闘しています。

私はこれからも変わらず八丈島が大好きです。失くなると知らずに過ごしていた子どもの頃を後悔しても遅く、今できることを探して少しでも長くこの光景を見れるよう活動していこうと思います。今はたくさんの方が3月の展示に足を運んでくれることを心待ちにしています。(2023年2月発行『季刊ritokei』41号掲載)


菊池心音(きくち・みね)
八丈島出身島育ち。八丈高校卒業、日本大学写真学科在学。新成人。カメラを学びながら、東京都離島区インターン生として伊豆諸島を中心に活動中。私の島生活は、島言葉で会話し、夕日を見て、八丈太鼓を叩き、毎日島のものを食べます!

     

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

関連する記事

ritokei特集