つくろう、島の未来

2021年12月06日 月曜日

つくろう、島の未来

突然のコロナ禍により収入確保の道筋が見通せず、頭の中が真っ白になったのは昨年4月。島の人口が少なく、お客さんの95%以上が観光客だったうちの店では、お客さんを待っていては生活していけません。給付金で生活を維持しつつ、ワラにもすがる思いで雑貨商品と食事券のネット販売を開始しました。

すると驚いたことに、これまでに来たことのある全国のお客さんたちが通販を利用してくださいました。次にいつ旅行ができるようになるか分からない中で、実に多くの方が遠い最南端の食堂の食事券を買ってくださったということ。また波照間島(はてるまじま|沖縄県)旅行の思い出や当店がお気に入りだったことなどを励ましのメッセージとともに送ってくれたということ。

あたたかいお気遣いの言葉に何度も力づけられました。同時に、これは22年間愚直に料理をつくり店や工房を営んできた間に蓄えられた信頼の貯金のようなものではないかと感じました。

いくつものコロナの波が押し寄せる中、生き残るためにみな必死でもがいています。私たちはお客さんが来られない期間を利用して畑を耕し、果樹(島バナナ、パパイヤ、マンゴー、柑橘類など)や、染織植物(糸芭蕉、藍、月桃など)の苗を植えています。

今すぐには何も得られませんが、これらが実をつけ利用できるようになった数年後、誰もが自由に旅行できるようになったその頃、今植えたものがたくさんのお客さんに喜ばれるはず。そう信じて未来のための貯金に精を出しています。(2021年2月発行『季刊ritokei』34号掲載)


大林恭子(おおばやし・きょうこ)
熱帯植物生態学研究、青年海外協力隊派遣を経て2006年に波照間島へ移住。島のもの食堂&染織工房「あやふふぁみ」共同経営。身近な自然を観察することが好き。島の風景とともにブログ、Facebook、Instagramなどを更新中。

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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