教員7年目、「離島の学校に勤めてみないか?」という話をいただいた。私が生まれ育ったのは筑紫平野のど真ん中。ないものねだりというのか、「いつか海の近くで暮らしてみたい」という漠然とした憧れがあった私は、島に行くことに決めた。
加唐島は、人口140人弱のとても小さな島だ。島の人口減少に伴い、子どもの数も年々少なくなっている。
ただ、このような状況にある地域は全国的に増えているらしい。人口の東京一極集中、少子高齢化…日本の現状を悲しいほどに実感させられる。
学校は小中学生合わせて10人未満、子どもより先生の数の方が多い。「子どもたちは頭よくなるやろぉ、よかねぇ」などと言ってくださる方もいるが、「そがん子ども少なかなら合併すればよかやん」などと不躾なことを言う人もいる。確かに最近では、児童生徒数の減少から合併や閉校になる学校は多い。しかし、もっと大切にするべきことがあるのではないだろうか。
「子どもたちは島を愛している」。この学校に勤めてそのこと気付かされた。今、子どもたちは「島のために自分たちにできることをやりたい!」と加唐島のPR活動に取り組んでいる。子どもたちの思いが周りの人を動かし、最近では市や県も学校の活動に協力してくれるようになった。
「子どもたちは島を愛している」。そんな子どもたちがいる加唐島はとてもすてきな島だ。そんな子どもたちがいる加唐小中学校はとてもすてきな学校だ。(2020年2月発行『季刊ritokei』31号掲載)
島﨑智朗(しまざき・ともあき)
福岡県大川市出身。加唐小中学校に勤務して4年。妻と2人の娘(6歳・4歳)と共に島生活を満喫中。温かい島の人たち、素直な島の子どもたちに日々感謝している
※『季刊ritokei』31号掲載時点の情報です