つくろう、島の未来

2024年04月24日 水曜日

つくろう、島の未来

島での暮らしに憧れて、瀬戸内海に浮かぶ大崎下島(おおさきしもじま|広島県)に移住した2019年の冬、訪問看護のお仕事で島中の家を訪ね歩くうちに、島独自の文化や雰囲気が魅力的に感じ、島が大好きになった。時間があれば、島を歩き、船に乗って島を旅するように。

農業の島、漁業の島、隣同士の島でも雰囲気や文化慣習が全然違う。昔の島や船旅のことを島の人たちに聞くうちに、橋の架からない離島に住んでみたいと思うようになった。2022年の梅雨前、かつて捕鯨で栄えていた佐賀県の小川島(おがわしま|佐賀県)に移住した。

瀬戸内海の穏やかな海とは違い、海の荒れ具合は日々気分屋さんで、島へ渡る船はジェットコースターになることも。台風で家が壊れ、道が荒れても、島民一丸となって、修繕する姿はとても格好良く、自宅が壊れても自分で瓦を修理できない僕に、島の人は「お互いできることをしたらいい、休憩のためにたこ焼きを焼いてくれへんか」と役割をくれました。

方言は本土より強く、笑顔で話しかけられても「!?」と分からないこともありますが、まあいっかと難しく考えず楽しくお話をしています。イカ漁が盛んで、夕方になると、家の前から漁にでる船が沖合へ出航していきます。遠目に見える漁火(いさりび)は海のイルミネーションです。

今は島で暮らしながら、島を取材する仕事をしています。日本には知られていない島がたくさんあるので、少しでも「島をみぢかに」感じられる関わり表現ができたら幸せですね。(2022年11月発行『季刊ritokei』40号掲載)


長谷川晶規(はせがわ・あきのり)
大阪府茨木市生まれ、島ごとの雰囲気や文化が好きで、島をめぐる日々。離島への憧れから2022年、300人ほどが暮らす佐賀県唐津市の小川島に移住し、佐賀県地域おこし協力隊として、「島をみぢかに」感じてもらうために取材活動中

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

関連する記事

ritokei特集