つくろう、島の未来

2020年10月29日 木曜日

どんな場所にも、それぞれ固有の風土や文化、そして人という魅力があると思う。そこから一旦離れて、離島の持つ価値について改めて考えてみると、離島は社会の縮図であると、日々感じる。

自分たちの暮らしが何に支えられているか、自分たちの暮らしによって、どんなことが起きているか、見えやすい。都市生活ではあまり知る機会がなかった、暮らしの入口と出口も知れる。課題も目の前に現れ、生活そのものに関わってくるから、先送りできないものとして、自ら関わらざるを得ない。

自分の暮らしは、自然や人との関係性に支えられているし、影響していることも痛感する。豊かな食べ物と相互扶助があれば、逆にすれ違いもある。離島という小さな社会でも、様々な人がいて、様々な正義が存在する。けれども、みな気持ちよく住みたいという無意識の欲求が必ずある。日常が、うまくいったり、ぶつかったり、試行錯誤の連続である。島暮らしは、自然と、人と、どう生きるかを常に問うてくる。

そんな話をしたら、友人は「都市にも島があるはずだ」といった。都市の暮らしにも、人との関係性・自然との関係性は必ずあって、彼はそこで“どう生きるか、どう暮らすか”を問われたと言ってくれたのだろう。そんな地球的テーマを離島暮らしはわかりやすく教えてくれる。離島の価値の一つは、ここにあると思うし、離島から伝えられる大きなメッセージだと思っている。(2019年8月発行『季刊ritokei』29号掲載)


秋山鈴明(あきやま・すずか)
瀬戸内海に浮かぶ山口県上関町の祝島在住。群馬県で生まれ育ち、大学を6年かけて卒業したのち、祝島に移住。在学中は東北の1次産業の現場に足を運ぶ。現在は漁業の見習いの傍ら、集落から出る家庭生ゴミの自主回収に取り組み、豚や牛を育てている

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