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インタビュー

島々仕事人 #003 佐渡料理店 きたむらさやかさん

島の魅力を届けるため、下町・浅草のお店に今夜も立つ

佐渡料理店「佐渡の酒と肴 だっちゃ」
店主 きたむらさやかさん

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■出身者の強みを活かした私設アンテナショップ

全国の離島のなかでも随一の農業生産高を誇る佐渡島。豊かな作物が穫れる佐渡の郷土料理専門店として東京の下町・浅草に「だっちゃ」は店を構えている。毎日書き換えられているというその日のメニューには、「しただみ」「かめのて」など佐渡から直送される旬食材が記され、カウンターに並ぶ数々の地酒からも食材の豊富さが伺える。しかし意外にも「佐渡料理をきちんと出しているお店は少ない」ときたむらさんは語る。

「佐渡の食材を扱っているお店はあるんですが、郷土料理を出すお店はありません。うちでは地元から取寄せた食材を、地元で食べられている味でそのまま提供しています」

きたむらさんは18歳で島を出て東京へ。小売り業界のスーパーバイザー、編集プロダクションでの広報や編集ディレクション、ホームページ制作、教育コンサルティング会社などで社会経験を積み、2009年にだっちゃを開業した。

「もともと自分で何かビジネスを立ち上げるのが目標だったので、現場と広報と教育を学んでいました。独立にあたっては地元の食材であれば出身者の強みもあるし、他にこうしたお店もないので私設アンテナショップとして佐渡をPRするお店をやってみようと思ったのが最初でした」

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■地元ではなじみの郷土料理に豊かな食材や銘酒が揃う

「高級割烹でも大衆居酒屋でもない、地元で出されているものをストレートに出している」というきたむらさん。だっちゃで提供されている郷土料理のなかでも、代表的なのは「いごねり」という海藻からつくられる素朴な一品だ。

「郷土料理の多くはもともと、庶民が貧しかったときに何かどうしても食べたいという中で工夫して生まれたものです。だから、各地の郷土料理には根菜の余った部分を煮付けて食べるものや、栄養価の低い素材を何とか加工して食べるものが多い。いごねりも今では佐渡独特のユニークな名産品ですが、このカタチになるまでには、もじゃもじゃの海藻を溶かして練ってなめらかにしてと、すごい手間がかかっています」

地元では当たり前のメニューも、知らない人にとっては新しく島文化を知るきっかけになる。有機農法など先進的な取り組みが進む佐渡には評価の高いブランド米も多い「新潟きっての米どころ」でもあり、上質な米と水から作られる日本酒のなかには、遠く海外で愛される銘柄もある。流通が発達した昨今でも、島の食材がすべて都会で手に入るとは限らないが、だっちゃでは佐渡で流通している60銘柄を超える酒が「蔵元直送」で味わえる。

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■地元からの応援を糧に佐渡島を伝えていく

「佐渡をPRする」という店内では、佐渡島の地図や朱鷺グッズなどから佐渡を伺い知ることができる。「佐渡に旅行に行く前に練習として来店される方もいれば、行ってきたばかりで熱が覚めやらず調べてこられる方もいます」というお店には、地元の応援も熱いと言う。

「東京での認知度はまだまだこれからですが、地元の方がすごく応援してくれていて、佐渡の漁協さんや商工会さんが東京での研修旅行で貸し切りにしてくれたり。地元の取引先さんもがんばれ、がんばれと言ってくださっています」

海も山も川もある豊かな島から運ばれてくる食材だけに、島はもとより食に感心の高い人のアンテナに引っかかることも多い。

「佐渡に行って良かったという方は、自然の豊かさに惹かれていることが多く、自給自足がやりたくて移住される方もいますね」ときたむらさんは、そう言いながら「日本海にある島は、南国に比べて注目度が低い」とも。

非日常を体感しやすい南の島に比べ、日本海側の島に派手さはない。しかし、全国の離島でもとりわけ豊かな食があり、四季折々の美しさを楽しむことができる、日本海の代表的な離島だ。かつては佐渡金山で賑わった佐渡も、今は観光客の減少と過疎化に悩む。

「佐渡の役に立ちたいですね」と言うきたむらさんは、島の魅力をもっと多くの人に届けるため、今日もお店に立つ。

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きたむらさやか

佐渡島出身。東京・浅草で佐渡料理専門店「佐渡の酒と肴 だっちゃ」を経営。
ふるさと佐渡の料理や地酒、文化を研究し「だっちゃ」の経営を通して情報発信している。
目下の悩みは、飲食店経営のため佐渡の祭に出られないこと、お婿さんがいないこと。

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佐渡の酒と肴「だっちゃ」

東京都台東区西浅草2-27-1 伊東ビル 1F
電話:03-5830-3790
営業時間:17:00~24:00(LO:23:00)
店休日:日・祝(予約営業)

(文・鯨本あつこ/写真・渡邉和弘)

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