つくろう、島の未来

2024年11月23日 土曜日

つくろう、島の未来

「ハゲー。ヨクムヴテキタガ。ニャマヌダーハウヤフジのウカギド(よく戻ってきたね。今のあなたがいるのは先祖のおかげだよ)」。7年ぶりに喜界島(きかいじま|鹿児島県)に戻り祖母の方言を聞いて、「島の言葉、文化を保存、継承していきたい」と改めて決心しました。

5年ほど前、アフリカで暮らしていたある日、ルームメイトのウガンダ人から「家族が結婚式をするから一緒に来てくれ」と言われ、彼の出身の村に遊びに行くことに。到着すると村人が円になり太鼓を鳴らしながら、自由に思いのままに体を動かしていました。「あっ、島っぽい」そんなことを考えながら眺めていると、引っ張られるように円の中心に。島人の血が騒ぎ、六調と指笛で応戦。すると、どこからともなく、指笛がなり始めました。まさに島で行われるお祝いと同じでした。

歌の意味を聞いた時、「民族の言葉だから分からない」と恥ずかしさと申し訳なさが混じったなんとも言えない表情で答えた彼が、島のことを全く知らない自分と重なりハッとしました。ウガンダと喜界島、規模は違えど問題の構造は同じかもしれない。その思いをきっかけに、その後の生き方を180度変えました。

グローバル化の中で、喜界島やウガンダのように不便さのあるコミュニティの多様性は失われ続けている。喜界島の課題に向き合うことが世界を知るきっかけかもしれない。グローバルな視点を持ちローカルで生きるグローカルな人になりたい!それが今の僕の目標です。(2022年2月発行『季刊ritokei』37号掲載)


住岡尚紀(すみおか・なおき)
喜界島生まれ。高校卒業後に上京。国連ユースボランティアでウガンダ共和国の国連開発計画に派遣。内閣府次世代グローバル事業世界青年の船に参加。20か国以上を旅し、2021年から喜界島にUターン就職。喜界町役場企画観光課勤務。

     

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島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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