つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

瀬戸内海の真ん中あたりに位置する関前諸島(せきぜんしょとう)は、今治市に属する3つの島(岡村島・小大下島・大下島)で構成されています。

岡村島(おかむらじま)は愛媛県ですが、広島県とだけ架橋されている日本でもめずらしい立地が特徴です。広島県側には「安芸灘とびしま海道」と呼ばれる7つの橋で渡れますが、愛媛県側は航路のみ。公共交通機関は船しかありませんが、車があれば広島県とは行き来できるので、勝手に「車で行ける離島」というキャッチフレーズを付けています。

関前諸島は高齢化率75%を超える超高齢過疎地域で、農業・漁業以外にこれといった産業がなく、島内に十分な仕事があるとは言えない現状があります。

この地で生活するために私たちが選んだのは起業。Uターン者や移住者を迎え入れるために不足している雇用の場を創出したいという想いで法人(株式会社みかんの島)を設立しました。2015年に6次産業化を前提としたミニマムな農業と収穫した農産物を活用した農家カフェ『まるせきカフェ』をオープンし、たくさんの動物と共に循環型農業にも取り組んでいます。

昨年には、とびしま海道沿いの広島県呉市上蒲刈島(かみかまがりじま)にある「県民の浜 蒲刈」内に2店舗目となる「ハンドメイドカフェ星の海島の空」を開業しました。

他県とだけ架橋される島の立地を有効活用しながら地域を活性化できるよう、安芸灘とびしま海道で接続されている地域全体をひとつとみなして、今後も県境を超えた連携をしていきます。(2020年11月発行『季刊ritokei』33号掲載)


成田晶彦(なりた・あきひこ)・紫乃(しの)
2012年、今治市地域おこし協力隊第一期生として東京から岡村島に移住。ロバ・ヤギ・犬・ウサギ・猫・鶏たちと共に楽しい島暮らしを満喫中。現在、NPOを立ち上げ地域活性化に取り組んでいる

     

離島経済新聞 目次

島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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