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離島経済新聞

 

インタビュー

島々仕事人 #002-1 副操縦士 水口健一郎さん

奄美群島、種子島、屋久島など、28島の有人離島を誇る鹿児島県には、飛行機で渡ることができる島も多くあります。「島々仕事人」は島と島をつなぐ仕事に携わる仕事人の想いを紹介する企画。『季刊ritokei』05号で掲載された人気企画が、WEBリトケイにも出張公開。1人目は鹿児島空港を中心に島根県は隠岐島や鹿児島の島々を行き交うパイロットの水口健一郎さんです。

■島々をつなぐ飛行機を操縦するパイロットの仕事

日本エアコミューター株式会社
副操縦士 水口健一郎さん

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■島に暮らす人にとって飛行機は、なくてはならない交通手段

 鹿児島空港を中心に、北は伊丹空港や隠岐島、南は鹿児島の与論島までフライトする日本エアコミューターで水口健一郎さんは副操縦士として働く。離島便が多いため旅行客やビジネス客はもちろん、島に暮らす島人のお客さまも多い。
 「私たちの飛行機は、島の方々の“足”でもあるんです。離島は海を隔てていますから、島で生活している人は実際の距離よりずっと本州を遠く感じている。私の仕事はこの距離を繋ぐことだと思っています」。飛行機に搭乗すると言えば、旅行やビジネスをイメージしやすいが、離島に暮らす人々にとっては日常に必要不可欠な交通手段でもある。  
 春になると、各空港では出会いと別れのシーンが多く見られる。水口さんはそんな光景にも離島ならではの趣きがあるという。「春は卒業や進学で島を出て行く人や、島に来る人が多いんですね。そんなとき島の空港には、見送りや出迎えの人が大勢集まるんです。特徴的なのは“さよなら”とか、“ようこそ”とか、メッセージが書かれた大きな横断幕が掲げられて、すごく盛大に行われていること。こういった場面では島ならではのぬくもりを感じますね」。このような人と人との“絆”を感じられるシーンは、都市部の空港ではなかなか見られない。

■挫折の末に再挑戦!32歳で掴んだ諦めきれなかった夢

 島々の上空を行き交う飛行機。その機体を操縦して大空を飛ぶパイロットは、今も昔も変わらず子どもたちに人気の職業だが、この夢を叶えるためには狭き門をくぐらなければならない。現在、副操縦士として活躍する水口さんも、夢を叶えるまでには紆余曲折があったと言う。「パイロットになることは子どもの頃からの夢でしたが、一度は諦めた職業でした」。
 学生の頃にパイロットを諦めた水口さんは、大学卒業後は会社員として勤めていた。しかし、32歳の頃、あることをきっかけに再びパイロットを目指しだした。「当時、仕事のことですごく悩んでいたんです。“自分はこのままでいいのか”と自問自答を繰り返す日々が続きました。そして、パイロットになりたいという夢に、もう一度チャレンジしようと決意したんです」。
 社会の厳しさを知ったうえでの再挑戦。猛勉強の努力が報われ水口さんは見事、難関の試験に突破した。子どもの頃の夢を叶えた水口さんは、今は副操縦士として、機長のサポートや、管制官との通信などを主に行う。「島の人はもちろん、パイロットとしてお客さまの足になることや、想いを運ぶことができるのは本当に幸せなことです」。

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■雲、山、島、丸い地球の姿をながめ、自然を近くに感じる

 世の中には自動車、電車、船などさまざまな乗り物があるが、雲の上を飛ぶ飛行機は、とりわけ乗る人の心をワクワクさせる。上空からの景色を見るために窓際の席を予約するという人も多いはずだ。日々、飛行機の操縦席に座る水口さんも「コックピットから見える景色は素晴らしい」と言う。
「飛行機にはパイロットにしか見られない景色があり、そういう意味ではコックピットは特等席ですね。目の前に遮るものがないですから。最初の頃は、本当に地球って丸いんだと感じました」。
 一方で、悪天候のときはプレッシャーも感じる。「機体の操縦にはどうしても人間の力が必要なんです。天気の悪いときは積乱雲が近づいてくるのがわかるんですよ。そんなときはコックピットにも緊張が走りますね。それに南の島の空港は滑走路が短いので操縦には普段以上に神経を使いますし、高い技術が求められます」。
 鹿児島空港と南の離島空港を飛ぶ際は、桜島の真横を通過することが多く、噴火の場面に出くわすこともしばしばあるそう。加えて「この仕事は雲や山、島など、自然との距離が近いのも魅力です」。

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水口健一郎(みずぐち・けんいちろう)
日本エアコミューター株式会社 乗員部 SF型式乗員室 SAAB340B型機 副操縦士。
鹿児島市出身。大学卒業後、一度は技術者として就職。夢を諦めきれず32歳の頃、再びパイロットの夢に挑戦。現在は副操縦士として活躍している。

日本エアコミューター株式会社(JAC) http://www.jac.co.jp/
1983年設立。奄美空港を拠点に喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島を結ぶ4路線で運航をスタートし、1988年に鹿児島空港に移転。現在は日本航空(JAL)グループの一員としてQ400、SAABの2機種で28路線を運航。今年で設立30周年を迎え島人の暮らしを支えている。

離島経済新聞 目次

『季刊ritokei(リトケイ)』島々仕事人

離島経済新聞社が発行している 全国418島の有人離島情報専門のタブロイド紙『季刊ritokei(リトケイ)』 本紙の中から選りすぐりのコンテンツをお届けします。 「島々仕事人」は島と島をつなぐ仕事に携わる仕事人の想いを紹介する企画。 日本全国の「島」にかかわる、さまざまな仕事人をご紹介します。

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