つくろう、島の未来

2020年12月03日 木曜日

進学と共に離れたふるさとの良さに気付いてUターンした夫と、千葉県のニュータウンで育った妻の2人で「港の編集室」として活動して5年目。せっかく住むのなら、暮らしだけでなく、仕事も地域の中でやっていきたい。そう思い、小さな島の中で自分たちだからこそできることを模索してきました。

そんな中、後継者がいないと困っている新聞屋さんに出会ったのは昨年5月。病を患い、経営を続けていくのが難しいため、後を継いでほしいとお願いされたのでした。朝が早く休みのない仕事。すぐに答えを出すのは難しく、時間をかけて悩みましたが、辿り着いた答えはシンプルで、「目の前に困っている人がいて、今の自分たちなら代わりをすることができる」と新聞屋を継ぐことにしました。

考えてみれば、「誰かができなくて困っていることを、できる誰かがやる」というのは、“仕事の起源”みたいなもの。小さな地域で働くためには、0から仕事を作らなければならないのではと思っていましたが、既にあるものが0にならないようにする働き方もあるのだと気づかされました。小さな島を未来に受け継ぐために、ここで暮らしていきたいと願う自分たちにとってぴったりの仕事だと今では思っています。

仕事とは、誰かが必要としていること。前任者の思いを受け継ぎながら、自分たちらしくやっていきたい。もしかすると1を0にしないだけでなく、1を1以上にできるかもしれない、とわくわくしながら。(2020年8月発行『季刊ritokei』32号掲載)


中尾 守岐(なかお・もりみち)・圭(けい)
広島県福山市内海町(田島・横島)在住。「港の編集室」として、地元に既にあるものに目を向け、デザインや編集の力でより魅力を引き出すことを生業に活動している。

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