つくろう、島の未来

2024年11月21日 木曜日

つくろう、島の未来

2014年4月、家業の漁師を継ぐために島へ帰り、漁師になりました。ひとくちに漁師といってもさまざまな漁師がいますが、私の場合は、父が代表を務める会社組織に所属しており、所有する複数の船に分かれて、約25名で主にアジ・サバ・イワシ類を獲っています。

就業時間はだいたい日没から日の出まで。だから夏は短く、冬は長い。島に戻ってから約2年が経ち、ようやくこの生活にも慣れつつあります。

私たちの漁法は「まき網漁業」と呼ばれ、魚群を探索する「灯船」が数隻と、積んでいる網で魚を漁獲する「網船(または本船)」、網船が漁獲した魚を積み替えて港まで運ぶ「運搬船」の3種で、船団を構成しています。

私は「網船」の船長で、操縦する船が積んでいる網で魚を獲っています。つまり、私の出来不出来によって、その日の漁獲量が決まるといっても過言ではありません。とても責任が大きいですが、大漁の喜びは何事にも代えがたいものです。

1年間で漁に出る日は200日弱なので、意外に少ないと思われるかもしれません。漁に出ない日には、網の補修や船の整備等を行うこともありますが、それは数えるほどしかないので、実は休みも多いのです。

都会に出ていた学生時代は、島の不便さや娯楽の少なさが嫌になることもありました。でも、今では小さい頃に感じていた島の良さを再認識しています。少し余裕ができたら、もっと島の良いところを見つけられるようになりたいです。(2016年2月発行『季刊ritokei』16号掲載)


福本真悟(ふくもと・しんご)
島根県島後(隠岐の島)生まれ。東京の大学を経て帰島。家業である漁師を継ぎ、(有)天祐丸の船長として、島後の西郷港を母港とする網船で漁を行う。

     

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島人コラム

島々で暮らす人々による寄稿コラム。離島経済新聞社が発行するタブロイド紙『季刊ritokei』の定番企画「島人コラム」に掲載された中から、抜粋してお届けします。

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